日本で8月といえば「平和」を考える月であり、子供と一緒に戦争について考えるいい機会でもあります。今回の無料メルマガ『育児に成功する【楽しい子育て絵本講座】』では著者の山口りかさんが、今後さらにグローバル化するであろう社会に生きる子供たちに読んでほしい、海外の著者が描いた戦争についての絵本を紹介しています。
地球規模で伝わる戦争の恐ろしさ
こんにちは、
子育て絵本アドバイザーの山口りかです。
日本では、8月は平和を考えることが多い月ですよね。8月6日の広島の原爆の日、8月9日の長崎の原爆の日、8月15日の終戦の日と、戦争に関することが多い月だからでしょうね。
戦争の悲惨さを伝えたり平和の素晴らしさを伝える絵本はたくさんあります。ただ、多くの場合、日本人の体験や日本側の体験が描かれている絵本ではないでしょうか。
海外の人の戦争観を知ると、平和についても、親子でグローバルに体験でき考えることができるのではないでしょうか。ピューリッツァー賞受賞作家、アリス・ウォーカーが文章を書いた、『なぜ戦争はよくないか』というストレートなタイトルの絵本を紹介します。
『なぜ戦争はよくないか』
作:アリス・ウォーカー 絵:ステファーノ・ヴィタール
訳:長田弘/偕成社
内容紹介
つねに弱いものの立場にたって、社会に問いかけてきたアリス・ウォーカーが、2001年9月11日のテロ攻撃に対して、自国アメリカがおこなった報復の現実を知る。そこには、平和だった毎日の暮らしを破壊され、親を亡くし、さまよう子どもたちの姿があった。
「戦争」が何なのか、わからないままに巻きこまれ、傷つく子どもたちをこれ以上ふやしたくない─、アリスの強い思いにステファーノ・ヴィタールが心にせまる絵でこたえた一作。
(Amazonより)
子育てワンポイントアドバイス
私達は、学校の授業やマスコミの報道などで、戦争の悲惨さや平和の尊さを知る機会がありますよね。ただ、日本で戦争と言えば第二次世界大戦を指すことが多いのではないでしょうか。
今年で終戦から73年経ち、日本では、戦争の体験者がとても少なくなり、直接話を聞く機会も減っているのではないでしょうか。
私自身は、父が予科練へ行きましたし、母が旧満州からの引揚者です。主人の母は、1歳の時に長崎で被爆しました。長崎の原爆の日は、「山の向こうが大きく光ったので、当時1歳だったばあちゃんの手を引いて、ひいばあちゃんは反対側の山へ走って逃げた」と、主人と私と娘たちは、何度も聞きました。
日本人として第二次世界大戦のことをや原爆のことを学ぶのはとても大切です。そして、グローバル化の時代の今、海外で、戦争や平和がどのように考えられているかを知ることも、同じくらい大切なのではないでしょうか。
そのことを子どもにもわかりやすく、文章と絵で教えてくれるのは、絵本『なぜ戦争はよくないか』です。
アメリカに、そしてこの星に長く生きてきたもののひとりとして、幼い人たちのことを考え守ることに、自分の持てる力のすべてをそそぎたい―。
という作者のアリス・ウォーカーの思いが、素晴らしい詩人の長田弘さんの訳と、ステファーノ・ヴィタールさんの絵で伝わってくる絵本です。
「絵を見るだけで物語が伝わる」というのは、優れた絵本の条件の1つだと私思います。この絵本の絵は、ページをめくるだけで、平和の尊さや戦争の悲惨さが伝わってきます。しかも、その絵は、日本の戦争を描いた絵本の絵とは違う、独特の画風です。
絵本は世界中の優れた作家の文学と美術の総合芸術です。優れた文章と絵で、地球規模で伝わる戦争の恐ろしさと平和の尊さを親子で感じられる絵本だと思います。
『なぜ戦争はよくないか』は、このような方にお勧めします。
- 戦争の悲惨さや平和の尊さを親子で体験したい方
- 「なぜ戦争が良くないか?」を親子で考えたい方
- 地球規模で平和について、考える子を育てたい方
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