ドン・キホーテの「魔境」みたいな店内が莫大な利益を生む理由

 

他の業態店でも通用するドンキの売場作り

言うまでもなく、ディスカウントストアのドン・キホーテが同社の稼ぎ頭で18年6月期の業績に大きく貢献し、満足のいく結果を得ることができたわけですが、それに加え、ドンキの売り場づくりの手法が他の業態店でも通用したことが同社にとって大きな収穫となりました。

2月から3月にかけて、ユニーの総合スーパー「アピタ」や「ピアゴ」の一部を「MEGAドン・キホーテUNY」に転換して共同運営を始めました。6店舗を転換しましたが、転換店では商品を大量に陳列するなどドンキのノウハウを取り入れています。

転換した6店舗の業績は好調で、転換前に比べて売上高が90%増客数が70%増粗利高が60%増になったといいます。運営するユニー・ファミリーマートホールディングスによると、転換により客層が変化し、それまで取り込めていなかった学生を中心とした若い層と30~40代のニューファミリー層が大きく伸びたといいます。

ドンキはファミリーマートのプロデュースも手掛けています。6月1日に東京都立川市と同目黒区のファミマ店舗を、29日には同世田谷区の店舗を、それぞれドンキのノウハウを取り入れてリニューアルオープンしました。ドンキからも商品を仕入れ、商品を天井近くまで山積みしたり、天井から商品を吊り下げるなど、従来のコンビニエンスストアとは異なる売り場を構築しています。

ドンキのノウハウが功を奏し、6月1日にオープンした2店舗は1カ月で売上高が従来の約1.5倍になったといいます。

ドンキの売り場づくりの手法が他の業態店でも通用したことは興味深く、閉塞感が漂う小売業に一石を投じたといえるでしょう。多くの小売業者がアマゾンなどネット通販業者の脅威に脅かされているなか、“店舗ならではの価値を提供することが今まで以上に求められていることが、このことからもわかります。従来の発想にとらわれない売り場づくりが必要といえるでしょう。

ドンキホーテHDは5月に公式ネット通販サイトを終えています。退路を断ち、実店舗での販売に注力することでアマゾンなどネット通販業者に対抗する考えです。一方で、遅れていたデジタル化を推し進め、ネットの世界と実店舗を融合していく方針を示しています。

スマホのアプリと売り場を連携します。自宅などからチャット形式で在庫を確認したり、SNSで情報を共有できるようにするほか、目当ての商品がある位置を確認できたり、POPなどに付いているQRコードを読み込むことで商品の使用方法がわかる動画や詳細情報を確認できるようにします。店内を歩いた分だけポイントが付与されるようにもする考えです。

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