パターン2:2社の所定労働時間を足しても、法定労働時間を超えない場合
この場合には、実際に法定労働時間を超える労働をさせた会社が残業代を支払います。
たとえば、A社で1日4時間、B社でも1日4時間の所定労働時間で働いていたとします。業務の都合でA社で5時間働き、その後にB社で4時間働いた場合、1日9時間の労働となるので、1時間の残業が発生します。この残業代を支払うのは、A社となります。
A社で5時間働いた時点では法定労働時間を超えていませんが、B社で4時間働くのを分かっていながら1時間余分に働かせたので、A社が残業代を支払うことになります。
兼業・副業の労働時間を考える上で大前提となるのが、どちらの会社も双方の労働時間を把握しているということ。会社は、ダブルワークを行う従業員の労働時間を、副業先も含めて把握しなければなりません。それだけ、労働時間管理がややこしくなります。
また、たとえば、所定労働時間が7時間の従業員がダブルワークを行った場合、今までは7時間を超え8時間までの労働については賃金の割増(2割5部増)は不要でしたが、ダブルワークを行うことで、この1時間についても割増が必要になる場合が出てきます。労働時間管理への負担と割増賃金負担というダブルでの会社負担の増加ということになります。
さらに、労働時間の把握については、労働者の自己申告に頼らざるを得ないところもありますので、残業代(割増分)の不正受給の問題も発生しかねません。
まだまだ、副業・兼業を禁止している企業が多いと思いますが、もし兼業・副業を認める場合には、労働時間の把握・管理についても、しっかり検討すべきでしょう。政府や厚労省が推進しているからといって、安易に乗ってしまうと、後々トラブルに発展しかねません。くれぐれも、「副業解禁」は慎重に行ってください(※ この記事がダブルワーカーに悪用されないことを願います)。
以上を踏まえて、改めてお聞きします。
「御社では、兼業・副業に関する準備が出来ていますか?」
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