台湾も日本と似た危機的状況。日台が「絆」で乗り切るべき大問題

 

そういう意味では、まだ言論の自由があり、海賊版が発生しにくい日本や台湾のほうがまだ未来はあるとは思いますが…。

本を作るうえで日台の最も大きな違いは流通過程でしょう。日本の場合、紙の本は再販売価格維持制度(再販制度)があり、書店が勝手に値引きをすることは禁じられています。

台湾にはそれがありません。そのため、書店によって割引率が異なり、例えば、参考書を買うなら大学の近くにある書店が安いといった現象が現れるわけです。そういう意味では、日本よりは台湾のほうが、店のカラーを出しやすいのは確かです。

誠品書店といった大手が、魅力ある売り場づくりを工夫して人気を集める一方で、街の小さな書店は「独立書店」と呼ばれ、店主の好みを存分に発揮した品ぞろえを誇り、店構えや品ぞろえには様々な工夫を凝らしています。

台湾でも書籍離れは日本以上に進んでいますが、それでも私は台湾で出版したことで言論活動に入りましたから、やはり頑張ってほしい。

そこで、台湾各地の独自色を出している独立書店を数多く取材してまとめた本『書店本事 - 在地圖上閃耀閲讀星空』を紹介しましょう。本書では、『カフェを併設したり関連の雑貨を売るだけでなく、文化の発信源として、地域の交流の場として、そこに集う人々の生活を豊かにするべく奮闘している、個性的な独立書店を40店以上紹介』しています。いま、本書を翻訳出版するための、クラウドファンディングが募集されています。

出版不況にめげない!台湾の活力あふれる「独立書店」をまとめた『書店本事 個性的な台湾書店主43のストーリー』を翻訳出版したい!

私の個人的感想としては、台湾の作家たちもなかなか頑張っているのではないかということです。台湾はオリジナルコンテンツが少ないという話でしたが、若手の作家も少なからず登場しているし、世界でも有名になった絵本作家ジミーもいます。まあ、台湾では作家という職業が日本ほど尊敬されるものではないとうい事実もありますが。

特に昨今では絵本作家たちが頑張っている印象があります。少子化で、親が子供にお金をかけるようになったことも要因の一つでしょう。

そんな台湾の絵本を日本で紹介しようと動いているグループ「tai-tai books」は、期間限定ながら神保町の書店の一角を借りて台湾の絵本をまとめて紹介する活動をしています。こちらも「独立書店」と同じく、本を紹介するだけでなく文化の発信源として本を捉えているため、時には台湾のお菓子作り講座を開いたり、時には作家による講演会を開いたりと、幅広い活動をしているようです。

太台本屋 tai-tai books

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