日本のトップ研究者がGoogleやAppleに奪われても不幸ではない理由

 

私の目に止まった記事

重版率8割超。編集者・乙丸益伸「エセ科学的な本は出したくない」

10万部を超えるベストセラーになった『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』を編集してくれた敏腕編集者、乙丸益伸さんのインタビュー記事です。

記事中にも書いてありますが、「人の役に立つ本を作ろう」という意思が本当に強い人で、良い仕事をするのに必要なエッセンスが詰まったような人でした。

記事中に、

例えば、『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』は、僕自身、仕事に追われて悩んでいた時に、中島さんがネットで書いた時間術に関する記事を見つけたのがきっかけです。そこに書かれていた方法を1カ月実践したら、みるみる仕事が片付くようになったので、「これを本にしたい!」と、オファーしました。

と書かれていますが、これは本当で、私のブログの記事「『時間に余裕があるときにこそ全力疾走で仕事し、締め切りが近づいたら流す』という働き方」を読んだ彼が、「これを本にしたい!」と突然連絡をしてきたのです。

彼のアプローチがユニークなのは、解決したい問題があり、その問題を解決してくれる著者を彼が探し出した上で、本を書いてもらうという、ニーズ重視な作り方で、これはあらゆる商品作りにおいて参考にすべきアプローチです。

特にエンジニアは、技術が先にあり、「この技術を使ったらどんな商品やサービスが出来るだろう」という発想をしがちです。しかし、最も重要なのは、解決すべき問題であり、技術は道具に過ぎないのです。

シリコンバレーでは、人工知能やブロックチェーンやVRを使った数多くのベンチャー企業が誕生していますが、残念ながらその大半が、「技術ありき」の会社で、投資家たちもそれに踊らされてしまっています。しかし、最終的に生き残るのは、「こんな問題を解決した」というはっきりとしたビジョンを持ったリーダーがいる会社だけでなのです。

GAFAと呼ばれる、Google、Amazon、Facebook、Appleの4社のことをよく考えてみてもらえばそれは明らかだと思います。Googleは「もっと役に立つ検索結果を返したい」、Amazonは「品揃えの豊富な本屋を作りたい」、Facebookは「人と人を繋げたい」、Appleは「技術で人間の創造性を開花させたい」という創業者のビジョンがあって始まった会社です。ビジョンの表現方法は時間とともに変わりますが、本質は今でも変わっていないことが分かる、良い例です。

image by: achinthamb / Shutterstock.com

※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2018年10月2日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込864円)

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