ハゲタカから企業を守れ。「内部告発」が日本経済のため必要な訳

 

そもそも何故、内部告発が必要なのかというと、左翼的(あるいは右翼的もあるかもしれませんが)な正義感から富裕な企業経営者を「退治する」とスカッとするとか、そういうことではありません。

そうではなくて、オリンパスにしても東芝にしても、巨大な不正や誤った判断がされることで、巨額の損失が出てしまい、日本経済の地盤沈下が加速したからです。こうした企業犯罪の場合、結局のところは、中身はハイエナのくせに白馬の騎士のように着飾った外資がやってきて、日本の国富の一部が食い物にされて終わるのがオチです。

この点については、日本国内にあるマネーは、高齢者の年金資産の比率が高く「リスクが取れない」訳で、物理的に外資に勝てないのは仕方がありません。そこで地団駄を踏んでもダメで、とにかく、日本経済の衰退を抑制するのには、バカな違法行為に手を染めて経営に大きな穴を開ける「大馬鹿経営者傷の浅いうちに追放する」ことで、ダメージを管理するしかないのです。

つまり内部告発は、日本経済のためにはどうしても必要なのです。それが機能していないというのは大変な問題で、何とかしなくてはなりません。

但し、昨今の「スバル・日産叩き」のように、肥大化した官僚制の要求する形式コンプライアンスに適応しなくてはならないという、日本独自のカントリーリスクが過度に守られるようですと、これはこれで経済衰退を加速させますから、それはそれで別の意味で要注意です。

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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