中身ない会見を繰り返す「加計学園」の梯子がなかなか外されぬ訳

 

ヒントとなるのは親友、安倍晋三首相の国会における流儀ではなかったか。すなわち論点のすり替えと質問時間の強奪時間切れ、そして、当事者を質疑の場に出さない戦法である。

論点ずらしについては、決議文の最後に記された以下の要請を利用した。

  1. 対外的な説明責任をしっかりと果たし、学園のコンプライアンスとガバナンスを確立すること。

この要請のもととなったのは「県への虚偽報告」などに関しいまだ晴れない疑惑だが、学園側はそこを完全に無視し、最初の30分を費やして、コンプライアンスとガバナンスについての「今後の方針を説明した。

だが、コンプライアンス推進室を学園に設けたことや、近々コンプライアンス委員会を発足させるというだけで、時間をかけた割には具体的な内容に乏しい

記者会見は獣医学関係の専門家によるシンポジウムの開催中に行われ、シンポジウム参加を理由に、1時間20分ていどに時間が制限された。そのため、記者の質問時間は50分ていど。大勢の報道陣がつめかけた注目の会見であり、これではとても時間が足りない。

しかも、虚偽報告の当事者である常務理事、渡辺良人氏については「処分中であるため」(加計理事長)という奇妙な理屈で出席させなかった

県議会が求めた「対外的な説明責任」を果たそうと思えば、事情を最もよく知る人物を会見に出席させ、我田引水の説明は最小限にとどめたうえで、時間の制限をつけずに記者の質問を受けるべきである。最初から逃げねらいの会見にしか見えない。

会見の初めに加計理事長があいさつし、学園側の説明が終わると、ようやく記者とのやりとりが始まった。

そのなかで、記者側の質問が集中したのは当然のことながら、愛媛県への虚偽報告の件である。

加計理事長との面談で安倍首相が「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と語った。その話を渡辺氏から愛媛県や今治市の担当者が聞き、本気になった。

そこから県、市の巨額補助金拠出を前提とした計画が進んでいったことを考えると、その話が実はウソだったと言って済ませられるわけはない

詐欺的な違法性さえ疑われる重大な問題ではないのか。そういう観点からの質問に対し、加計理事長はこう答えた。

「県と市は半分、あきらめムードだったらしい。このままではこの話はダメになると本人(渡辺氏)は思った。だから、それを前に進めようとしたと聞いています」

前に進めるためだったら、架空の話をでっち上げて自治体を騙し巨額の税金を注ぎ込ませてもいいというのだろうか。

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