中身ない会見を繰り返す「加計学園」の梯子がなかなか外されぬ訳

 

加計理事長はワンマンで知られている。もし渡辺氏が虚偽報告をしたとすれば、加計理事長の指示によると考えるのが自然だ。

全部任せていたので私は分からない」と言い張る加計理事長は絶えず、同席した学園職員や司会者のほうを向いて目配せし、助け船を出させた。

愛媛県の文書によると、渡辺氏が県訪問のアポイントをとってきた際の趣旨は、加計理事長と安倍首相が獣医学部新設について面談した件について報告したいということだった。

だから会見で、最初から虚偽報告をするつもりだったのかという質問が相次いだのは当然だ。

加計理事長は「県と市が手を引くかもしれないという危機感のなかから前へ進めるため…」と同じ発言を繰り返してまともに答えず、岡山理科大の上田事務局長はしどろもどろに、こう語った。

「前から考えていたのではなく、その場でふと思いついたと聞いております」。

通常、大学の幹部職員がそこまでして大ウソをつくとは考えにくい。おそらく安倍首相と加計理事長の2015年2月の会談はあったのだろう。そのさい、柳瀬秘書官が同席し、国家戦略特区に申請する方針が決まったと思われる。

柳瀬氏は加計学園と3回、接触したと証言しているが、これについても加計理事長は「存じあげません」のひと言。上田事務局長も、渡辺氏がどのような経緯で柳瀬秘書官と知り合い、いつ、どのような目的で会ったのかなど、肝心なところは本人でないので…とごまかした

それならなぜ渡辺氏を出席させないのか。そう問われても、加計理事長は「処分中だから」と、理由にならない理由をこじつける事実を隠蔽する意図があるとしか思えない。

実際には、安倍首相と携帯ホットラインをむすぶ加計理事長の命令により渡辺氏が動いていただけではないのだろうか。

おまけに、加計理事長が肝心の愛媛県文書を読んでいないと言い出したため、「何のための会見か」と記者の間から声が上がった。「渡辺氏を呼んで再度、会見をするべきだ」という指摘に対しては、「県や市と協議したい」と、またしても「逃げ」を打った。

最後には、学園側が「みなさんは2015年2月25日の面談のことを質問されるが、我々は県や市と協力してコンプライアンスや地域貢献をどう実行していくかの発表をするつもりで記者会見を開いたたがいの認識が違っていると開き直る始末だった。

「県民、市民の血税による補助金を受ける立場として、コンプライアンスを確立し、ガラス張りの運営につとめる」と加計理事長は語った。しかし、この日の会見を見る限り、本気で取り組む姿勢は微塵も感じられない

コンプライアンスという言葉すら空疎に響くお粗末な経営陣が、国際水準の教育・研究を標榜しても、白けた気分にさせられるだけだ。

image by: Wikimedia Commons

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