キャデラックがフォードに勝った「イノベーション」の意外な中身

 

ここに2つの玩具をあげたのですが「イノベーション」は、どこの業界にもどんな事象にでも起こるということを分かってもらいたいからです。

話題を変えますが、アメリカにはかって揺るぐことのないビッグ・スリーと称される3つの自動車会社があるのはよく知られていることですが、そのなかの2社で起こった地位の逆転劇の要因を考えます。それはGMとフォードの間で起こったことなのですが、理由は新発明によるものでもなくまた生産方式の画期的な変換でもありませんでした。

はて、それは何が原因だったのでしょうか。ドラッカーを引っぱり出すまでもないのですが、ドラッカーは事業を行うについてまず行わなければならないのは「顧客は誰か」という問いだとしていて、それに答えられてはじめて「われわれの事業は何か、何であるべきか」というを定義ができるとしています。しかる後「顧客はどこにいるか」「顧客は何を買うか」を問うことが重要であるとしているのですが、逆転劇はこの「顧客は何を買うか」を的確に見極めれるかどうかで起こったものです。

マネジメントの基本機能である「マーケティング」は「顧客の欲求からスタートする」ですが、フォードは「時代の変化」と「顧客の欲求の本質」を理解できなかったため、その地位を奪われることになりました。

フォードからその地位を奪ったのは「キャデラック」という高級車なのですが、そのときの経営責任者は「われわれの競争相手はダイヤモンドやミンクのコートだ。顧客の購入するのは、輸送手段でなくステータスだ」と。「革新」が成功できるのは「時代の欲求」が絶えず変化するからです。つまり「イノベーション」は「顧客の欲求」を焦点にするということです。

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戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。

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【著者】 浅井良一 【発行周期】 ほぼ週刊

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