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眠れない夜に試したい。子どもの頃を思い出す「意外な入眠法」

睡眠不足が蓄積し、心身に不調をきたす「睡眠負債」の話題をよく耳にするようになりました。不眠の悩みを抱える人のために、寝付きをよくするとされる入眠法もさまざま紹介されていますが、メルマガ『8人ばなし』の著者・山崎勝義さんが提案するのは、よく言われる方法とは一線を画す、意外な入眠法でした。

「睡眠負債」の解決策を考える

自分の睡眠に満足している現代日本人はほぼいない。 「ほぼいない」とは言ったが、ある医療機器メーカーの調査では97%以上の人が自分の睡眠に何かしら不満があると回答したそうだから実際には「まずいない」というのがより正確な言い方なのかもしれない。

しかしこうした生活習慣に関わることにおいての異常・正常というものは多数決で決まるという側面もある。97%の圧倒的多数派は最早異常とは言えず、寧ろ3%の少数派の方が異常な存在なのかもしれない。

もっと言えば、人間の本能に関わること一般において満足と言えるものなどはまずなくて、当該の睡眠だけが「不満がある」と他人に憚ることなく堂々と明言し易いだけなのかもしれない。

ひょっとしたら、現代社会における正しい日本人、イコール睡眠不足である筈、というのがある種の先入主のように働いているのかもしれない。確かに、自分の睡眠には大いに満足していると聞けば余程の暇人かニートの類の言のように何となく聞こえてしまう。

ともあれ、件の97%のうち、ほとんどの人が不満とは言いながらも特に何もしてはいないわけだから左程気にすることはないのだろうが、最近話題の「睡眠負債」の問題もある。できれば少しでも解決しておきたいところである。

どんな職業の人でも、自分一人の都合で自由にできる時間には限りがある。この限りある自由時間が理論上自分の取れる睡眠時間の最大値となる。当たり前のことだが自由時間の全てを睡眠時間に充てる者はいないから、寝ていてもいい自由時間の範囲内で、自分が寝ていたいと決めた時間がその人の都合上の最適睡眠時間ということになる。

問題は、決めたからといって容易にその通りにはなってくれないところである。起床時間に関してはもとより自分以外の事情で決められる場合がほとんどであろうから、何とかなるとすれば入眠時間の方であろう。できれば、床に入るとすぐに眠りにも入りたいところである。

入眠に必要なのはリラックスだけではない

ここで少し逆説的な例を挙げたいと思う。本来は中枢神経を刺激して文字通り覚醒を促す筈の覚醒剤を、ヒトに少量投与すると今度は逆に眠気を誘うことがあるという事実が医学的に分かっている。これを逆説的傾眠と言う。

このことから人間の入眠という行為には、ほんの僅かではあっても覚醒的な力が必要なのではないか、という推測が成り立つ。少し具体的に言えば、身体と精神を鎮静させる程度の集中力は必要ということである。これは全く比喩的な比率に過ぎないが、集中1に対しリラックス9といった感じであろうか。何となくだが、座禅や瞑想の時の情態に似ているような気もする。

然るに我々は9分のリラックスにばかり目をやってはいないだろうか。ストレッチ然り、ホットミルク然りである。しかし、いくら9分を求めても必要不可欠な1分がないのでは、まさに画竜点睛を欠くである。

ただ残念なことに、その1分の集中を得るために有効な方法は確立していない。そういう訳で、非公認ながらこの微集中情態を導くための極めて私論的な環境づくりの方法を一つ紹介したいと思う。

それはテレビである。音声は耳障りでない程度まで下げる。聞こうと思えば聞こえる程度がちょうどいい。肝心なのはコンテンツである。まず放送されている番組はダメである。内容が気になることもあるからだ。最適なのはヘビーローテーションで既にストーリーが頭に入っているほどお気に入りのドラマか映画かアニメの録画である。それを見るともなく、ただつけっ放しておくのである。

この効果に関しては以下のような分析をしている。まずお気に入りなのだから不快な筈はない。またストーリーが頭に入っているので展開が気にならない。そしてそれらはフィクションであるため、そこにあるのはリアルな自分とは完全に隔絶した閉じられた意味構築世界、要は物語の世界である。故に他人事的安心感がある。とはいえ、ミーニングフルな台詞やナレーションが聞こえてくるわけだから僅かながら頭も働く。ここまでくると何となく気付く。これは大人版の、眠りに就くまでの絵本なのではないか。

今、入眠に問題を抱えている人がいたら、ちょっと試してもらいたい。意外に効果がある。勿論、睡眠導入の補助としても使える。

最後に一言だけ。試す時はタイマーを忘れずに

image by: shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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