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30点が100点に。陰山英男先生が実践する最も効率的な漢字学習法

漢字発祥の国である中国では、簡体字といって漢字を簡略化し識字率を大幅に向上させました。それほど、漢字を覚えるのにはコツがいるのです。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、立命館小学校の副校長で安倍内閣の「教育再生会議」委員を歴任された隂山英男さんへのインタビューから、効率的な漢字学習を促す取り組みを紹介します。

最も効率的な漢字学習方法を大公開!

読み書き計算の徹底反復によって子供たちの能力向上を図ってきた陰山英男さん。今回は、漢字学習の新たなメソッドについてお話しいただきました。

本気になると脳の働きが変わる 陰山英男(陰山ラボ代表)

最近分かったのは、書き写しが子供たちの学力を非常に高めるということです。きっかけは漢字の書き取りでした。

漢字学習は「何回書きなさい」と書き取りをするのが普通ですが、それだと逆に子供は漢字を覚えません。回数をこなすことが目的になってしまい、頭を働かせず鉛筆だけ動かすようになるからです。

漢字の勉強で最も効果的なのは何かというと、お手本をよく見てきちっと書き写すことなのです。これは文字の観察に繋がり、偏や旁、とめ・はね・はらいをしっかり身につけることができます。同時に分かってきたのは、1文字5秒以内画数が少なければ3秒以内に書けない漢字は覚えたことにはならないということです。

昨年12月に新潟県糸魚川市のある小学校に漢字指導に行きました。3年生の男子で、漢字テストで30点以上とったことがないという子がいました。私は黒板に漢字を4文字書いて、みんなに書かせてみました。その子は全く書けません。ようやく書いた字も形になっていませんでした。

私はその子が一所懸命書いた漢字を消しゴムで消しました。

「何すんねん」

と言うので、

「間違った字を書いたら消すのは当然だろう。正しく書けば次に行かせてあげる

と書き直させました。しかし、書き直した字をまた消しました。

「ちゃんと書いたやないか」

と文句を言うので、

そんなトロトロ書いたのは書いたうちに入らないよ

と、また書き直させる。7、8回繰り返してようやく書けるようになったので2文字目に行くと、今度は3、4回で書けました。お手本通り書かないと消されるのでよく字を観察して書いていました。

それでコツを掴んで3文字目、4文字目はより速く正確に書けるようになりました。実はこの時、その子の中で瞬間的に重要なことが起きていました。何かというと、速く書くことに夢中になって漢字が苦手だということを忘れていたのです。

低学年は別ですが、中高学年になると自分が駄目だと思い込むと頭が働きません。だから、できない子を伸ばす第一条件は学習に夢中にさせてできないという気持ちを忘れさせることなのです。

その子が4文字書けたのを見て、すぐに漢字テストをしました。8人の児童のうち、彼は3番目に書き終わりました全問正解です。私が「君は漢字大好き少年に変わったね」と茶化すと、「ほんまや」と嬉しそうでした。そして翌日の漢字テストで、彼は100点をとりました

本気で学習すると子供の脳の働きが活発になって劇的に学力が向上するのです。やり方を工夫すれば、一瞬でレベルアップできることも分かりました。必要なのは、簡単なことを本気になってやること。音読、漢字、百ます計算は最適の学習法だったのです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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