ここで問題となるのは、韓国という国の戦略的な脆弱さである。ソウルは北との国境線である非武装地帯から近く、対空防衛システムや防空シェルターなども十分ではないという脆弱性を晒しており、韓国の軍隊は自国をまったく守れない状態にある。というのが40年前の状況だったが、実は今も全く同じなのだ。
政府機能や民間企業の本社などを、ソウルから遠くに分散するなどの対策を一切実行していない。空襲に対応するシェルターも不十分である。40年前と違うのは、北朝鮮が核兵器や長距離ミサイルを開発したことだけだ。もし戦争が起きれば、北朝鮮は最初の一撃で韓国の指揮所や対戦車兵器などを潰せる。
40年前にアメリカが提案した、首都機能を南に移すことや、企業の光州への移動や、軍事面での72項目にものぼる細かい変更など、ほとんどなされていない。半島有事の際に作戦を指揮する権限は、いまだに韓国軍ではなく在韓米軍司令官にある。アメリカ側が長年、返還を示唆しても逃げ口上を駆使して延期し続けている。さらに韓国は、北朝鮮の核開発を阻止する動きは全く見せていない。
韓国は北朝鮮の非核化には殆ど興味がなく、金正恩体制の崩壊は望んでいない。日米が直面しているのは「朝鮮半島問題」で、二つの国で構成されている。一つは北朝鮮であり、どんな手段でも核武装解除を進めるべき国だ。「そしてもう一つは、韓国という無視すべき国である」。よく言ってくれました。
編集長 柴田忠男
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