反トランプで世界が一体化。アメリカを蝕み始めた米国第一主義

 

繰り返される歴史

ここまでをまとめてみましょう。

  1. トランプの「イラン合意離脱」は、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国、イランを一体化させた
  2. 中国は、イランからの原油輸入をつづけている
  3. しかも【人民元】で決済している
  4. 欧州は、ロシアや中東からの原油決済をドルからユーロに切り替えようとしている
  5. 欧州は、トランプの意向を無視して、イラン産原油の輸入をつづける方針
  6. しかも、ドルではなくユーロで
  7. ロシアは、対中原油輸出代金を【人民元】で受け取っている

戦略的ドル離れが加速しています。実をいうと、こういう動き、以前にもあったのです。既述のように、フセインは2000年、イラク産原油の決済通貨をドルからユーロにかえた。フセインをプッシュしたのは、フランスでした。で、どうなったか? そう、フセインはアメリカから攻撃され処刑された

ところが、「ドル離れのトレンド」はその後もつづいていったのです。ユーロのパワーはドンドン強くなり、絶好調だったプーチン・ロシアは、「ルーブルを世界通貨にする!」などと宣言していた。結果、何が起こったか?そう、リーマン・ショックです。

これ、一般的説明とは全然違いますね。00~08年の【裏歴史】を知りたい方は、いますぐこちらをご一読ください。全部わかります。

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また、同じこと(リーマン・ショック再来)が起こるのでしょうか?「バリバリ兆候がでてきている」と思うのは、私だけではないでしょう。

なぜトランプは戦略下手といえるのか??

ここまで欧州、ロシア、中国、イランが、反トランプで一体化していることを見てきました。

ところでトランプは、「対中国戦争」をはじめたのでしょう?彼が戦略的思考をできる人なら、欧州ロシアイランを味方につける動きをするはずでしょう? そして、同盟国日本は超大事にされるはずです。

ところが実際彼は、誰に会ってもいいたいことをいっている。確かにそれは「アメリカ・ファースト」です。それで、彼が動けば動くほどアメリカの敵は増えていくのです。

「ルトワックさん、ミアシャイマーさん、トランプさんを助けてください!」

と神様にお願いしたい気分です(涙)。

image by: Evan El-Amin / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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