繰り返される歴史
ここまでをまとめてみましょう。
- トランプの「イラン合意離脱」は、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国、イランを一体化させた
- 中国は、イランからの原油輸入をつづけている
- しかも【人民元】で決済している
- 欧州は、ロシアや中東からの原油決済をドルからユーロに切り替えようとしている
- 欧州は、トランプの意向を無視して、イラン産原油の輸入をつづける方針
- しかも、ドルではなくユーロで
- ロシアは、対中原油輸出代金を【人民元】で受け取っている
戦略的ドル離れが加速しています。実をいうと、こういう動き、以前にもあったのです。既述のように、フセインは2000年、イラク産原油の決済通貨をドルからユーロにかえた。フセインをプッシュしたのは、フランスでした。で、どうなったか? そう、フセインはアメリカから攻撃され、処刑された。
ところが、「ドル離れのトレンド」はその後もつづいていったのです。ユーロのパワーはドンドン強くなり、絶好調だったプーチン・ロシアは、「ルーブルを世界通貨にする!」などと宣言していた。結果、何が起こったか?そう、リーマン・ショックです。
これ、一般的説明とは全然違いますね。00~08年の【裏歴史】を知りたい方は、いますぐこちらをご一読ください。全部わかります。
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また、同じこと(リーマン・ショック再来)が起こるのでしょうか?「バリバリ兆候がでてきている」と思うのは、私だけではないでしょう。
なぜトランプは戦略下手といえるのか??
ここまで欧州、ロシア、中国、イランが、反トランプで一体化していることを見てきました。
ところでトランプは、「対中国戦争」をはじめたのでしょう?彼が戦略的思考をできる人なら、欧州、ロシア、イランを味方につける動きをするはずでしょう? そして、同盟国日本は超大事にされるはずです。
ところが実際彼は、誰に会ってもいいたいことをいっている。確かにそれは「アメリカ・ファースト」です。それで、彼が動けば動くほどアメリカの敵は増えていくのです。
「ルトワックさん、ミアシャイマーさん、トランプさんを助けてください!」
と神様にお願いしたい気分です(涙)。
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