大きなクスノキが語る師弟の絆。天台宗の門跡・青蓮院を巡る

 

鎌倉時代初期には、愚管抄を著した慈円が天台座主となりました。また伏見天皇の皇子である尊円法親王が入寺して大いに栄えたが、応仁の乱で焼失しています。

慈円は厳格な延暦寺を総本山に持つ天台宗のお寺の座主でしたが、他の宗教に対して寛大でした。当時延暦寺や朝廷に迫害を受けていた、浄土宗の開祖・法然やその弟子の親鸞の味方をしたのです。そして法然に青蓮院の境内の一部を授けたのです。この時慈円から分け与えられた土地に法然が建てたお寺が知恩院です。今でも知恩院は青蓮院のすぐ隣にあるのはそのためです。

浄土真宗の開祖・親鸞は幼少の頃、慈円の元で出家しています。だから、青蓮院は天台宗でありながら、浄土真宗の聖地の一つでもあるのです。

青蓮院の正面には大きなクスノキが立っています。12世紀末に親鸞が植えたものと伝えられています。樹齢は約800年とのことです。

現代の日本の仏教の中で浄土宗と浄土真宗は二大宗派です。法難の時代を天台宗の慈円が他宗派に対して寛容でなければその後の日本仏教はどうなっていたのでしょう?歴史のイフは至る所にあるのですが、とりわけこのようなことは日本人の生き方や考え方に大きく影響を与えたことだと思います。今度京都に行ったら、慈円を思い出しながら青蓮院と知恩院を比べながら見学してみるとおもしろいのではないでしょうか。

京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

image by: 京都フリー写真素材

英学(はなぶさ がく)この著者の記事一覧

毎年5,000万人以上の観光客が訪れる京都の魅力を紹介。特にガイドブックには載っていない京都の意外な素顔、魅力を発信しています。京都検定合格を目指している方、京都ファン必見! 京都人も知らない京都の魅力を沢山お伝えしていきます。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 おもしろい京都案内 』

【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

print
いま読まれてます

  • 大きなクスノキが語る師弟の絆。天台宗の門跡・青蓮院を巡る
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け