日本の「Nintendo Switch」が2018年のホリデー・ショッピングの期間に、アメリカ国内で過去もっとも売れたゲーム機の記録を塗り替え話題になっています。伝えてくれたのは、『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』の著者でNY在住のりばてぃさん。マーケティングのプロでもあるりばてぃさんは、この好調は、2019年も持続しそうと見ているようです。その理由とは?
Nintendo Switchが売れている!
(1)米国での売上好調
最近のゲーム機は様々だ。スマホでもいつでもどこでもゲームができるし、本格的なゲームをしたい方には、X boxや、プレイステーションなどなど様々なゲーム機がある。パソコンでゲームをするという方もいるだろう。20~30年前と比べてもかなりゲーム業界は変わってきている。
そんな中、任天堂のゲームが米国でバカ売れというニュースが出ている。特に、Nintendo Switchがめっちゃ売れているという。
調査会社NPDグループによると、2017年3月に発売開始から2018年11月までの21ヶ月間で米国内で870万台超売れたとのこと。これは、 マイクロソフトのXbox OneやソニーのPS4(プレイステーション4)よりも販売数が上回っており、ニュースになっている。
さらに、このメルマガでもお伝えしたように、米国の年末商戦は11月の感謝祭を皮切りにスタート。特に、1年に1度の大セールとなる感謝祭翌日のブラック・フライデーと翌週月曜日のサイバー・マンデーはかなりの売上を上げるため、その年の売上を左右するほど影響を持つ。
その大セールの期間5日間で(感謝祭からサイバー・マンデーまで)米国史上もっとも売れたゲーム機となった。
ご参考:
● NINTENDO SWITCH BECOMES FASTEST-SELLING SYSTEM OF THIS GENERATION
● The Nintendo Switch Became The Best-Selling Nintendo Console In US History For Thanksgiving Weekend
Nintendo Switchだけでも売れゆきは好調だが、任天堂の他の商品と合わせて2億5,000万ドル(1ドル110円換算で約280億円)を記録したと報じられている。
ご参考:
● Nintendo Hits Big Milestones from Thanksgiving to Cyber Monday
めっちゃ好調!しかも、これ、12月7日に世界同時発売された「大乱闘スマッシュブラザーズ」(Super Smash Bros. Ultimate )は含まれていない。
12月18日付のバラエティの記事によると、発売から11日間で、米国内だけでも300万個売れたとのこと。
ご参考:
● ‘Super Smash Bros. Ultimate’ Fastest Selling Nintendo Switch Game
ちなみに、ソフトウェアの価格は以下のとおり: デジタル版 $59.99 ファイターズパス付き $84.98
単純にデジタル版だけで計算すると: $59.99 x 3,000,000(個)=$179,970,000(1億7,997万ドル) 円換算すると:約199億円
ご参考:
● Super Smash Bros. Ultimate (米国公式)
あれ?こうやって計算してみると、感謝祭からの5日間で米国任天堂商品の売上2億5,000万ドルに対して、11日間だけで1億7,997万ドルも売り上げた、「大乱闘スマッシュブラザーズ」はかなりの大ヒット!!なかなかすごい。
一方で、11月27日付の経済誌ブルームバーグは、任天堂が当初予定していた2年間でNintendo Switchの目標販売台数3,800万台だったのに対して、ブルームバーグが8人のアナリストが出した販売数を平均したところ3,500万台にとどまる見通しと報じている。
以下、英語の元記事と日本語版:
● Nintendo Switch Loses Shine With Shipments Seen Missing Target ● 任天堂「スイッチ」試練の時 人気ソフト不足、出荷目標下回る
当初の目標台数よりは下回る可能性は残っているようだが、とにもかくにも米国だけでもこのホリデー期間の任天堂の商品はかなり売れており、引き続き注目だ。
(2)eスポーツとユーチューブ
引き続き注目と言えるのは、ユーチューブもかなり売れ行きに影響を与えているような気がするからである。
調査の一環でeスポーツについて調べていたのだけど、当然、様々な情報を探していくので、ゲーム専門の情報サイトや、一般のニュース記事、各種調査レポートを見ていく中で、ゲーム系のユーチューバーの動画もみることになる。
プロのゲーマーだけでなく、彼らのゲーム実況をまとめたものや、セミプロゲーマー、素人でも別のカテゴリーで有名なユーチューバーや子どもユーチューバーもいたりする。中にはまるでスポーツ実況のようなeスポーツ実況動画もある。その数、かなり膨大。
どのくらい膨大かというと、実際の数字はないので、はっきりとは言えないが、以前、美容系ユーチューバーやモチベーション系のユーチューバー、おもちゃレビューユーチューバーなどなど様々なタイプのユーチューバーについて調べたときよりも圧倒的にゲーム関係のユーチューブ動画が多いのである。
あっという間におすすめ動画がゲームで埋まってしまうほど。他のカテゴリーではそこまでじゃなかった印象。それだけかなりの数のゲーム系動画がユーチューブ上にあるのだろう。
実際、毎年、その年のブームやミームを振り返る年次恒例のYouTube Rewindの2018年版の冒頭に今大ヒット中のゲーム「フォートナイト」の最初のバスのシーンが入っていたこともゲーム人気を示している。
ご参考:
● YouTube Rewind 2018: Everyone Controls Rewind
これだけゲーム系のユーチューブ動画が多ければ、ゲームの購買に何かしらの影響を与えないわけがない。そうじゃなかったら、例えば、美容系ユーチューバーに美容会社のスポンサーがついたりサンプルが配られたりはしない。購買につながるビデオマーケティングとして有用だからこそだ。
ゲームも同じではないだろうか。Nintendo Switchに限らずいろんなタイプのゲーム系ユーチューバーの存在は、eスポーツをさらに一般的にしていくように思う。
ユーチューブのゲーム系動画の影響を鑑みたものではないが、別の調査レポートによると、2019年は、Xbox OneとPS4よりもNintendo Switchが売れるとの発表もでている。
ご参考:
● Nintendo Switch to outsell PS4 in 2019 according to one report
さらに!
8月のメルマガで、「様々な分野で人気のサブスクリプション・モデル」についてお伝えしたが、今、米国でもっともホットなビジネスモデルであるサブスクリプション・モデルをNintendo Switchは、今年9月から「Nintendo Switch Online」として開始。1ヶ月4ドルほどでオンラインで様々なゲームを楽しめるというものだ。
X BoxやPSでは以前からあったサービスだが、ついに任天堂にも!ということで、注目されている。売上にどのような影響となるのか非常に興味深い。
ご参考:
● Everything you need to know about Nintendo Switch Online
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