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【書評】「どんな話でも1分で伝えることはできる」は本当なのか

こちらの思いをなんとか伝えようとしても、なかなかうまく伝わってくれない…。そんな悩みを解消してくれる一冊の本があります。その方法が実にわかりやすく綴られた話題の書を、無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長・柴田忠男さんがレビューしています。

1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術
伊藤羊一 著・SBクリエイティブ

著者はヤフー株式会社コーポレートエバンジェリスト Yahoo!アカデミア学長、グロービス経営大学院客員教授。この本は「伝える力を世界で一番簡単に習得できることを目指しているという。ものすごくわかりやすい。そんな簡単なことでいいのか。30年若かったら、この手法を用いてバリバリ仕事できたのにな。

多くの人が誤解しているのは、「自分が伝えたいことを話せば人は話を聞いてくれる」ということだ。わたしもそう思っていた。だが、著者は断言する。「人は、相手の話の80%は聞いていない場合によっては90%くらいかもしれない。それが当然だと思って下さい」。自分の話を聞いて欲しいならまず「みんな人の話を聞いていない」ということからスタートせよという。そんな……。

1分で話せるよう話を組立て伝えよう」これが基本である。「1分でまとまらない話は、結局何時間かけて話しても伝わらない」。逆に言えば「どんな話でも1分で伝えることはできる」ということなのだ。5分で話すべきことも、30分かけて話すことも、1時間与えられた時でも、まずは「1分で話せるよう」話を組み立てよ。そんな……。その極意を教えてくれるのがこの本である。

話には結論と根拠がある。根拠は複数あることが多いので、三角形の底辺に並べる頂点のほうに結論を置く。「1分で話す」の形はここにある。まず伝えたいことの骨組み、つまり結論と根拠を構築する。これができれば、驚くほどの説得力を増す伝え方ができる。型にはめて「ロジカルに」考える癖をつければ確実に説得力を増す話ができる。根拠理由は3つあったほうがいい

ピラミッドがしっかりできていれば、その通りに人に話せばいい。「私の主張はこうです。理由は3点あって、1点目はこう、2点目はこう、3点目はこうです」という感じである。より簡単な言葉を使う。一般にカタカナ語や漢字より、ひらがなの日本の言葉のほうがわかりやすい傾向がある。言葉を削る。最終的には気合いと根性の世界だ。ひたすら「スッキリ簡単」を目指し削りに削る。

中学生が理解できるレベルの言葉しか使わない。「自分の存在をかけるくらいの気合いで聞き手に伝えなければならない。そうでないと、聞き手が動かないからだ。著者は孫正義にプレゼンしたときは、300回練習した。単に毎回、同じことを棒読みし、覚えようとしていたのではない。10回に1回は録音した

聞きながら、ここがよくわからない、ここは言葉が飛んだといったことを振り返り、毎回、話す言葉を少しずつ改善していきながら、より説得力を増すために練習していたらいつのまにか300回になった。それだけ練習することで自信をもってプレゼンすることができた。その結果、相手が動いたと確信している。

かつて「DTPの伝道者」として(笑……ってる場合ではない)、ずいぶん講演をこなしてきたが、いま思うと若気の至りである。「自分の存在をかける」気概はなく、うけを狙った一方的な雑談であった。ああ恥ずかしい。「1分で話す」型がわかったから、今後の討論の場で活用できそうである。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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