英国に学べ。近視眼的に中国にすり寄る日本に必要な戦略的忍耐力

kitano20180123
 

韓国やロシアとの間にも緊張が走り慌ただしさを増す日本の外交。この荒波を乗り越えるため、我が国はどのような政策を取るべきなのでしょうか。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは、自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で世界的戦略家の著作を引きながら、過去の世界大戦の主要国・イギリスとドイツの明暗を分けた戦略の相違点に着目し分析した上で、日本外交に必要な「大戦略」を記しています。

日本に必要な「戦略的忍耐」

日本で、韓国そしてロシアに対する感情が悪化しています。韓国は、徴用工問題レーダー照射問題で。ロシアは、北方領土問題で。私も、憤りを共有しています。しかし、ここで冷静さを保てるかどうかが、「勝敗の分かれ目」。まだの人は、是非ごちらをご一読ください。そして、もう100回読んだ人も、後10回読んでください。

反日統一共同戦線を呼びかける中国

ここには、中国の「対日戦略」がはっきりと記されています。つまり、日米関係日ロ関係日韓関係を破壊することで、日本を孤立させ、破滅される(大意)。それで、日本の行く道は、日米関係、日ロ関係、日韓関係をますます強固にすることで、中国の戦略を無力化させることである。

安倍総理は、15、16、17年と、忍耐強くこの戦略を進め、中国の「反日統一共同戦線」を無力化させることに成功しました。そして、2018年、米中覇権戦争がはじまった。米中戦争の結果、日本も経済的損失を免れません。しかし、中国が目指した、「中国、アメリカ、ロシア、韓国で日本を壊滅させる」状態よりは、全然マシです。

ところが、日本と米ロ韓の関係を見ると、かなり「中国が喜ぶ状態にむかっている」ことがわかります。

  • 日米=日本が中国に接近することで、アメリカ側に不信感が芽生えている
  • 日ロ=金儲けの話を減らし、北方領土問題解決を前面に出しはじめたので、ロシア側が身構えている
  • 日韓=徴用工問題、レーダー照射問題で対立が深刻化している

これを見ると、「韓国が悪いから」「ロシアが悪いから」という論理は、非常に理解できます。しかし、「大戦略の道」を進みたければ、「とかとかで物事を考えないようにする必要があります

たとえばアメリカはヒトラーに勝つために、人類史上に残る悪人スターリンと組んだ。その時、「スターリンのような『悪人』と組むのはやめましょう」とはいわなかったのです。そして、1970年代、アメリカはソ連に勝つために、これも人類史上に残る悪人・毛沢東と組みました。非道徳的な話ですが、これが「戦勝国敗戦国の違い

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