経団連会長の原発「大ブレ発言」で判った廃炉ビジネス時代の到来

 

日立は廃炉ビジネスに活路を開く方向に舵を大きく切ったのではないか。

そのために海外の原発子会社、GE日立ニュークリア・エナジー(GEH)を廃炉事業の中核に据え、米ベクテル社とも提携して、脱原発をめざすドイツなどで廃炉受注に動いている

廃炉事業は再稼働より収益性が高いかもしれない。日本で、すでに廃炉が決まっているか、もしくは検討中の原発は23基。その他37基のうち、運転開始から40年を超えているのが3基、30年超が9基もある。今後も続々と廃炉組が増えていく

福島第一原発の事故後、政府が原発の運転期限を40年と定めたため、廃炉の動きが速まった。最長20年、運転期間を延ばす制度もあるが、老朽化した原発の安全対策は余計に高くつく

福島第一原発のほか、浜岡原発、東海原発が廃炉に着手しているが、問題は廃炉の技術がまだ確立されていないことだ。少なくとも日本では、商業用原子炉の廃炉を完了した実績がない。

このため電力会社や関連企業は必要なノウハウを得るため国内外で連携を進めている。たとえば関電は美浜1、2号機の廃炉に関し、仏原子力大手のアレバや三菱重工業に協力を仰いでいる。

原子炉はもちろん、放射性物質に汚染された機器の解体・撤去をどのようにしていくのか、そのための技術の蓄積には膨大な時間とコストがかかる

これからわれわれ日本人は後始末の方法を考えずに原子力利用へ突っ走ってきた大きな代償を払わなければならない時代を迎えることになる。

廃炉に着手している原発の現状はどうなっているのだろうか。日本原電が運営していたわが国初の商業用原発である東海発電所(出力16.6万キロワット)では、1998年3月31日に運転を終了し、原子炉解体プロジェクトが進められている。

当初、日本原電は、東海の廃炉費用を850億円と見込み、2020年度までの23年間で終了させるという計画を立てた。

これまでに、燃料搬出、冷却プール洗浄、タービン発電機や建屋の解体、熱交換器撤去工事などが行われた。原子炉解体工事は5年遅れで今年中に着手される予定だというが、順調にいくかどうか。

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