こうした人々が、中国国内で道徳的、民主的、普遍的な見方をする人々が声を上げるようになり、だんだんと中国政府とは違う風を中国内に吹かせることができたら、中国政府もいつまでもそれを抑え込むことはできなくなる、という考え方もあります。
これだけ国境が低くなり、人々が世界を知ってしまったら、いくら監視カメラやAIなどを駆使して監視社会をつくっても、彼らの声を抑え込むことはできず、政府のほうが国民に動かされていくようになる。そういうことを期待する向きもあります。
たしかにそのようになれば、素晴らしいことです。ただ、これまで欧米諸国も、中国に資本主義が根付いて人々が豊かになれば、民主化が広がると期待していました。ところが実際には、中国が豊かになることで共産党独裁が強まり、中国は覇権主義をむき出しにしてきました。
豊かになった中国人は自国を変えるのではなく、共産党と結びついてさらなる利権を貪るか、あるいは海外へ逃亡するか、その2つに1つで、中国を変えようという勢力にはなりえませんでした。
旧正月の「春節」は、中国人大移動の季節です。出稼ぎの人々が帰省するため、交通機関は人々の群れで押し合いへし合いとなり、死者がでることもあります。しかし、「春節」が過ぎると、すべてのことが一変します。それが中国の風物詩です。
国内外の観光地に中国人がどっと押し寄せるのは、この「春節」だけです。そして、疾風怒濤のように押し寄せた中国人が去った後は、ゴミの山だけが残ります。
中国人観光客の話になると、最近ではマナー違反が注目されていますが、そもそも中国人観光客が押しよせる国が決まるのは国の意向次第です。「春節」の旅行先は、極めて政治色が強く反映されるのです。台湾に対しても、民進党に所属する人物が市長になった地域には中国人観光客は行ってはいけないと中国政府が指示したこともありました。
台湾ではある中国業者が、中国人観光客のホテル、バス、買い物に至るまですべてを独占して扱うシステムがあります。しかし、中国というのは本当に先が見えない国です。日本のアパホテルが標的にされて、一時、客足が激減したこともありました。少しでも気に入らないことがあると、全員がそれに従って引き上げるのです。
ゼロか全部かのどちらかなのです。日本も中国人観光客目当てにすり寄ってばかりいて「捕らぬ狸の皮算用」をしていると、いつか痛い目を見るかもしれません。
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※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年2月5日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込648円)。
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※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年1月29日号の一部抜粋です。