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「ドクターイエロー」を見たときの興奮がビジネスに活かせる理由

JRが「新幹線のお医者さん」として運行している通称ドクターイエロー。その神出鬼没な黄色い車体は、「見られたら幸運」とされるほどの人気を誇っています。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では著者の佐藤きよあきさんが、そんなドクターイエローに人が惹かれる心理をビジネスに利用する方法を紹介しています。

「ドクターイエロー」式マーケティングのすすめ

「ドクターイエロー」をご存知でしょうか? 新幹線における、軌道・電気設備・信号設備を検査するための車両で、車体のカラーであるクリームイエローから、その名(愛称)がついています。

その車体を眼にすることはほとんどなく、偶然に出会うしか見る方法はありません。その理由は、旅客車両ではないため、当然時刻表には運行予定が記載されていないからです。また、走行予定も非公開なので、見たいと思っても見ることはできません。よって、鉄道マニアにとっても、憧れの存在なのです。これまでの目撃情報などをもとに、次の出現場所・時刻を推測し、ひたすら待っているしかないのです。

しかし、時に運行計画がどこからか漏れていて、マニアが集まっていることがあります。その中には、鉄道マニアではない人の姿も多くあります。小さな子どもや女性です。他の車両に興味はなくとも、「ドクターイエロー」は特別な存在として、“可愛い”という認識を持っているようです。

鉄道に興味のない私でも、最初に見掛けた時は、なぜか興奮してしまいました。やはり、「滅多に見ることができない車両だ」ということだけでも、人は興味を持ってしまうものなのでしょう。

人は、手に入らないものを欲しがります。人は、見えないものを見たがります。絶対的な理由などなく、本能とも言える心理で、「ドクターイエロー」に惹かれるのです。

この心理は、モノを売るためのマーケティングにも活用されています。

「限定品」「先着○名様」「抽選で」……。こうした言葉を聞くと、人はソワソワし始めます。「どんなものだろう?」「人気があるのか?」「早く行かなければ!」「買った方が良いのでは?」

本気で欲しいと思っていなくてもなぜか手に入れたくなるのです。冷静でいられなくなります。「浅はかだ」と冷静に思う人もいるでしょうが、ほとんどの人は、無意識に心惹かれてしまうものです。本能のままに“欲しい”と感じて、行動します。

この行動を否定するつもりはありません。それも人生の楽しみ方ではないかと思います。お店に行列ができるのも、そんな人たちが、消費者の大多数を占めているからです。

ビジネスをする立場で見ると、消費者が欲しいと強く思う仕掛けを作れば良いのです。

「その店でなければ…」
「その日、その時間でなければ…」
「いつ登場するかわからないが…」

など、手に入りにくい状況を作り出せば良いのです。しかし、単に“売り惜しみ”をしても、お客さまにはバレます。本当に価値のあるものを提供しなければなりません。

「ドクターイエロー」は、JRの“戦略”ではありませんが、ファンを魅了する存在感を持っています。手本とすべきは、その「希少性」「神出鬼没」。これを見習うことで、消費者に飽きられることのない、長寿命の商品を生み出すことができるのです。

image by: Sakarin Sawasdinaka / Shutterstock.com

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なぜ、人はモノを買いたくなるのか。欲しいという感情は、どこから生まれるのか。消費行動における人の心理を知れば、売れるモノが見えてくる。売り方がわかる。小手先のテクニックなど、いらない。人を研究すれば、やるべきことはすべてわかる。

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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