東京ディズニーRが抱える「世界観の崩壊」という深刻なリスク

 

「変動価格制」の導入は有り得るか

一方で、混雑解消の手段として「パークの拡張」がある。オリエンタルランドは約2,500億円を投じて東京ディズニーシー(TDS)を約2割拡張し、映画「アナと雪の女王」のアトラクションなどを建設する予定だ。この拡張により混雑緩和を図りたい考えだが、開業日は23年3月期中を予定しているため、拡張による混雑緩和は先の話となる。

そこで、すぐに効果が得られるチケットの値上げが切り札となってくるわけだが、過度な値上げは顧客満足度の低下を招いてしまい、また、適正な入園者数を実現できなくなる恐れもある。そうなってしまえば、収益が低下する可能性が高まってしまう。

そうならないよう、当面の年間入園者数をここ数年の水準から大きくかけ離れることがないようにコントロールしたいところだ。17年度までの5年間の年間入園者数がそれぞれ3,000万~3,200万人となっていることをベースに、現状の入園者数のペースや平準化策の影響などを加味して考えてみると、19年度と20年度の年間入園者数がそれぞれ3,100万~3,200万人で収まるような価格設定を実施したいところだろう。

なお、東京ディズニーランド(TDL)かTDSで使える大人の1日券「1デーパスポート」の価格は14年4月の改定前は6,200円だったが、3度の改定を経て16年4月に7,400円になり、現在まで同価格が続いている。値上げする場合、主力の同パスポートの価格がいくらになるのかに注目が集まる。

テーマパークでの値上げを巡っては、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の取り組みに注目が集まっている。USJでは1月10日からチケットの変動価格制を取り入れた。変動価格制とは需要に応じて価格を変える仕組みのことで、繁忙期の価格は高く設定し、閑散期は低く設定するなどして入園者数の平準化を図ることができる。

USJは人気の高まりで入園者数が増えている。16年度は1,460万人で3年連続で過去最高を更新した。17年度は運営会社による公開がなかったため入園者数は不明だが、勢いが衰えていなかったことから前年度を超えて4年連続で過去最高を更新したとみられる。

USJでは入園者数の増加に伴い、TDRと同様に収益の最大化と入園者数の調節を目的に値上げを繰り返してきた。変動価格制を取り入れる前の大人の1日券「スタジオ・パス」の価格は7,900円にまで高まっていた。

変動価格制を取り入れたことで以前の価格との単純比較ができなくなったが、変動価格制導入後の価格を見てみると、値下げ幅より値上げ幅が大きく、全体では値上げの色が濃い。ただ、価格変動の全体像を把握することが困難なこともあり、値上がり感はそれほど高くはない。それでいて収益の最大化と入園者数の平準化も期待できるため、USJの変動価格制の行方に注目が集まっている。

TDRでも変動価格制の導入が期待される。TDRは他のテーマパークと同様、時期によって入園者数に大きな違いがある。閑散期に新たにイベントを開催するなどして平準化を図ってきたが、こういった手法には限界がある。そこで、大きな効果が見込めるとして期待されているのが変動価格制だ。USJで導入されたこともあり、TDRで取り入れられることは十分あり得るだろう。

print
いま読まれてます

  • 東京ディズニーRが抱える「世界観の崩壊」という深刻なリスク
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け