ファン離れにつながりかねない「世界観の崩壊」
TDRには他のテーマパークにはない独自の世界観と歴史があり、それが大きな強みとなっている。差別化された強みのため、値上げに対する利用者の許容度は決して小さくはない。TDRの大人1日券の価格は、USJの変動価格制導入前の価格と比べて500円安いということもあり、値上げの余地は十分あると言えるだろう。とはいえ、高い顧客満足度と収益の最大化の両方を実現させる価格を導き出すのは簡単なことではない。慎重な情勢分析を行って、最適解を探すことになりそうだ。
こういった難しい課題を抱えているものの、それでもTDRは順風満帆と言っていいだろう。今のところ死角がないようにも思えるが、油断は禁物だ。特に雇用問題から生じるディズニーの世界観の崩壊の危険性に注意する必要があるだろう。
TDRはショーのパフォーマンスなどにおいて人材の質に特にこだわる必要があるが、少子化で労働人口が減少し人材獲得競争が激しさを増しているなか、優秀な人材を確保し続けることが以前にも増して重要になっている。優秀な人材が獲得できずにショーなどの質が低下し、それによりディズニーの世界観が崩壊してしまえば、深刻なファン離れにつながりかねない。
また、人材のマネジメントにおいてトラブルが生じてしまい、訴訟問題に発展するなどしてTDRのブランドイメージが大きく低下してしまったら、ディズニーの世界観の崩壊が避けられないだろう。実際、オリエンタルランドでは過去に労働問題が何度か起きている。過去にないレベルの労働問題が生じてしまえば、世界観が崩壊し深刻なファン離れが起きるだろう。油断はできない。
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