沖縄県民投票の選択肢「どちらでもない」に潜む、3つの落とし穴

 

そこに潜む落とし穴

一見すると、3択化によって有権者の気持ちに一層寄り添った投票が可能になったかに映るけれども、そこにはいくつもの落とし穴がある。

まず第1に、自民党側からすれば「どちらでもない」を選択肢に加えたことは、辺野古建設「反対票を増やさないための手段であり、迷った末に「反対」に行ってしまう票を食い止める防波堤となることに期待をかけている。

第2に、それが投票率を下げる手段となるかもしれない。「どちらでもない」の人は、上述のように真剣に悩み、投票所に行ってもまだ悩んで投票するのだろう。しかしそういう人ばかりとは限らず、「どう考えたらいいか分からない」「自分の意見がない」「どうでもいいので皆さんに任せます」という人も少なくないに違いない。ところがそのような人たちは、積極的に行動すべき動機を持たないので、わざわざ投票所に行くことがないのではあるまいか。「どちらでもない」という投げやり気分とも見える選択肢をちらつかせることで投票への意欲を削ぐ訳である。投票率が50%に達しないようなことになると投票の意味は著しく損なわれる。

第3に、従って、結果的に「どちらでもない」は余り多くならないと予想されるが、仮にそれが増えて最多となり、しかも投票資格者数(約116万人)の4分の1(約29万人)を超えた場合は、条例の決まりで知事にその結果を尊重して行動する義務が生じる。「反対」が4分の1を超えて最多となれば知事の国に対する立場は強固になるが、「どちらでもないが最多では尊重のしようもなく県民投票そのものが戯言となってしまう。

そこで、辺野古建設に反対する「オール沖縄」側としては、まず何としても投票率を上げるようにしながら、「どちらでもない」に流れる票を出来るだけ少なくして「反対」票が圧倒するように仕向けなければならない。

昨年9月の県知事選の投票率は63.24%で、玉城票は39万6,600票だった。仮に県民投票が投票率50%=58万票で、知事選での玉城票がそのまま「反対」票に来れば70%近くとなって文句なしの圧勝となる。そこまで行かなくとも、29万票に達すれば4分の1クリアでまずまずの勝利である。

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