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最新の栄養疫学が示す、健康を害さないフライドポテトの数は6本

最近の研究で、「健康を害しないフライドポテトは6個までであることがわかった」と衝撃の事実を伝えるのは、メルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』の著者で現役医師の徳田先生です。先生は、最新の栄養疫学によって明らかになったヘルシー7メニューと、不健康5メニューを紹介。ジャンクフードの摂りすぎに注意を呼びかけています。

これまでの栄養学の限界

従来の栄養学は食事に含まれる成分に基づく生物学的理論で予想する考え方です。ビタミンやミネラルなどの成分を豊富に含む食事が健康的とみなす傾向があります。栄養学の考えかたを応用すると、成分をサプリなどで摂れば健康になる、という考えが出てきます。ビタミンやミネラルなどのサプリをたくさん摂ればがんや心臓病に罹りにくくなるだろうという考えです。

1980年代にはメガビタミン主義が世界の先進国で流行りました。ノーベル賞を2回取ったライナス・ポーリング博士が最初に唱えた主義です。ポーリング博士は生化学者ですので、生化学をベースにした栄養学に基づいた主義でした。ポーリング博士自身もビタミンCを大量に服用してしました。

しかし、体に良いと考えられる個別成分をサプリなどで大量に摂っても、病気になりにくい、ということはありませんでした。あるサプリを摂っていた人々と、摂っていなかった人々の健康状態を何年間も追跡する臨床試験で、その無効性が証明されたのです。ビタミンのほぼ全て、すなわちABCDEについて調べた結果、無効だったのです。ミネラルもそうでした。

栄養疫学でわかった健康的な食事

栄養疫学という学問があります。どんな食事をしている人が病気になりにくいのかを何年も観察して寿命や病気の結果をみる考え方です。栄養疫学によるオススメの健康的な食事は、野菜、くだもの、全粒穀物、豆類、ナッツ類、植物性油、魚介類からなるメニューです。私はこれをヘルシー7メニューと呼んでいます。

これらのヘルシー7メニューを習慣的に食べていた人たちは病気に罹りにくく自然に長生きしていました。がん、心臓病、脳卒中、糖尿病、腎臓病など生活習慣病の全てに予防効果を認めたのです。全粒穀物とは、玄米、麦、全粒粉小麦、オートミール、挽きぐるみソバなどです。

野菜にはベータカロチンが多く含まれています。しかし、ベータカロチンをサプリとして服用しても健康的には無効なのですが、もともとの野菜として食べるのは効果があるのです。野菜の成分にはさまざまなものがバランスよく含まれており、そのバランスを保持したまま摂取するのは体に良いです。単一成分だけ取り出して内服すると、体に良い効果が消えるのです。

不健康な食事

果物をなまで食べるのは体に良いので、果物はヘルシー7メニューに入っています。しかし、果物ジュースとして摂取するのはよくないことがわかっています。果物ジュースを普段から飲んでいると糖尿病や肥満の危険性が高くなります。また、砂糖入りのジュースはもっと不健康です。コーラなどの清涼飲料水は出来るだけ避けましょう。オススメのドリンクは、まず水。そして、適量のコーヒーとお茶です。

ここで不健康メニューを挙げます。赤身の肉、加工肉、砂糖、精製穀物、デンプン型野菜です。これらの不健康メニューは、がんや心臓病、糖尿病などのリスクを高めます。赤身の肉とは哺乳類の肉のことで、牛肉や豚肉などです。加工肉とは、スパムやソーセージ、ベーコン、ハムなどです。精製穀物とは、白米や白いパン。デンプン型野菜とは、じゃがいもなどです。

最近の研究によると、健康を害しないフライドポテトは6個までであることがわかりました。ファーストフードレストランで出てくるフライドポテトの数は明らかに6個より多いですね。ファーストフードは欧米ではジャンクフードと呼ばれています。ジャンクとは「肉のクズ」のこと、牛や豚の内臓などや神経などが混入した不純肉で、さらに人工添加物も含まれています。

フライドポテトとジャンクフードを普段から食べていると、長期的にがんや心臓病のリスクがかなり高くなりますが、ドキュメンタリー映画「スーパーサイズ・ミー」でマイケルムーア監督が自ら1日3食ジャンクフードレストランで食べ続けるという試みをしていました。短期間で体重は増え、気分も悪くなり、血液検査データも悪化していました。この映画からも、ジャンクフードレストランが短期的にも不健康であることが示されたと思います。

文献 2019: the year for nutrition. Lancet. VOLUME 393, ISSUE 10168, P200, JANUARY 19, 2019.

image by: Bodnar Taras, shutterstock.com

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