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【書評】なぜ離婚後に独身を貫いた人は認知症になりやすいのか?

歳を重ねるにつれ発症リスクがあがると言われる認知症。日本は先進国の中でも患者の割合が最多と言われています。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』では編集長の柴田忠男さんが、どういった人が認知症になりやすいのかを紹介するとともに、予防になる習慣を記した一冊をレビューしています。

偏屈BOOK案内:『淋しい人はボケる 認知症になる心理と習慣』

淋しい人はボケる 認知症になる心理と習慣
高島明彦 著/幻冬舎

建国記念日にまた一つ歳をとった、準高齢者なわたしである。まだ早いがボケとか認知症のことも知っておくか、このタイトルも気になるし、ということで読んでみた。著者は国立長寿医療研究センター分子基盤研究部長。ビギナー向け(ってのも変な表現だが)アルツハイマー病の予防本も書いている人。

高齢期にかかるうつ病とボケには相関関係がある。高齢になれば脳の老化で前頭葉などの機能が衰え、判断力や思考力が落ち、うつ病の症状が出ると考えるのが自然である。そして、脳の老化がより進めばボケるリスクも高まる。一人暮らしだった人が50歳以降にボケるリスクは、既婚者やパートナーがいる人に比べて約2倍高い離婚後に独身のままだった人はボケるリスクが3倍に高まる

より深刻なのは、50歳より前に死別や離婚で伴侶を失い独身を貫いた人でボケるリスクは6倍に高まる。孤独感が脳の老化を加速させ、認知機能を低下させる。また糖尿病とボケには高い相関がある肥満の人は標準体重の人と比較してボケるリスクが80%増加するという調査結果がある。やっぱりデブはダメ。

血圧は高すぎても低すぎてもボケるリスクがあがる。どのような症状になったら「ボケ予備軍」と言えるのか。年をとるとよく人の名前が出てこないといった、物忘れをしがちだ(わたしも重症)。普通に考えれば忘れるはずがないことを忘れるようになったら、脳の老化による物忘れが始まっているサインだといえる。「夕食を食べたかどうかがわからない」といったケースは危険だ。

うつ状態になったのはボケの初期段階である可能性があるほか、うつ病そのものがボケの危険因子になることも考えられる。自分の考えや感情を表に出さず溜め込んだり何ごとも理詰めで合理的にやろうとするのもストレスフルな態度と考えられ、それもボケ発症の原因になる。また、新聞や本をよく読む人、教育歴の高い人は、ひとたびボケを発症すると、進行が速い傾向にあるという。

カレーを食べるとボケにくいという説がある。疫学研究で65歳以上のアメリカ 人とインド人を比較したところ、アメリカ人はボケの発症率が1,000人中17.5人、インド人は4.7人だった。カレーにはウコンという多年草の植物が使われている。ウコンに含まれる「クルクミン」というポリフェノールは、さまざまな病気の治療薬として使われている。私の好きなカレーはそんな効用があったのか。

自分の考えや感情を表に出さず溜め込むとストレスになるし、何ごとも理詰めで合理的にやろうとするのもストレスフルな態度だと考えられる。言いたいことをいい、「まあ、こんなもんでいいか」と物事を大雑把に考える人のほうが、長生きできる可能性が高い。わたしはその型だと思うが、長生きはご免である。

ボケ防止は、家にひきこもるな家の外では身だしなみに無頓着ではダメ日記やブログを書け緑茶を飲め葉物野菜を食べよ、著者はそういうアドバイスをしている。わたしはけっこうそんな生活をしているから、サクセスフルエイジング(健康老化)中である。ヘタしたら長生きしちゃうじゃないか。

編集長 柴田忠男

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【著者】 日刊デジタルクリエイターズ 【発行周期】 ほぼ日刊

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