落日のイギリス。EU離脱問題のデッドラインが迫る英国の右往左往

 

難民問題でさらに複雑に

特にヨーロッパで難民問題の受け入れが重要テーマになってくると、ドイツのメルケル首相は受け入れに賛成したものの、時が経つにつれハンガリー、イタリアや多くの東欧諸国から反対の声が広がる。当のドイツやフランス、イギリスなどからも移民排斥の運動が高まってきて、いまや移民問題を巡ってどこも国論が二分されるようになってきたのである。

特にイギリスは、キャメロン首相の辞任を受けて保守党党首・首相に就任したメイ首相は国民投票では残留に賛成したものの、英国民の判断は離脱派が多数を占めてしまった。そこでメイ首相はソフトな離脱案を模索し、EU離脱による経済的衝撃を緩めるためEUから多くの譲歩と2年間の猶予も取り付けた。しかし欧州全体の離脱派と残留派の分断や右派の台頭、さらにはメルケル独首相の「5期目の首相選には立候補しない」とする声明などもあって、ますます混乱が深まったのである。

進退窮まるメイ首相

いまやイギリスには、

  1. EUとの合意なき離脱の道
  2. 残留か離脱かについての国民投票の再実施
  3. メイ首相を解任し、離脱期限を数カ月延長してもらう

──などの選択肢が残されているという。しかしいずれの案も実現不可能とされており展望がみえない。

しかもイギリスのEU離脱に絡んでは、EU加盟国のアイルランドと英領の北アイルランドの国境管理500キロ問題をどうするかという難問も残されているのである。かつての大英帝国は欧州から孤立し、経済的にも苦境に立たされている。イギリスがEU離脱に踏み切れば英国に工場などを持つ企業は英国から離れる可能性があるからだ。日本企業の中にも英国の離脱が決定すれば、工場や本社を大陸に移すという企業が出ている。(TSR情報 2019年2月22日)

image by: Frederic Legrand – COMEO / Shutterstock.com

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【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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