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退職者から苦情殺到。退職による資格喪失証明書を発行しない会社

従業員が退職した際の手続きの遅れが、不要なトラブルを引き起こすことが多々あります。今回の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では著者で現役社労士の飯田弘和さんが、そんなトラブルを避けるために会社側が速やかに行なうべき手続きについて解説しています。

御社では、退職時の手続きを速やかに行っていますか?

退職者からのご相談の中には、会社が健康保険の資格喪失証明書を交付してくれないというものがあります。この証明書がないために、退職後に国民健康保険への切り替えができないというご相談があります。

会社は、従業員が退職した際、退職の翌日から5日以内に被保険者資格喪失届を届け出なければなりません。退職後に国民健康保険に加入する場合には、役所で資格喪失証明書の提出を求められます。各市区町村で対応がまちまちのようですが、この「資格喪失証明書」がない場合、国民健康保険の加入手続きを行ってくれない役所もあります。

ちなみに、私の住む市では、たとえ「資格喪失証明書」がなくても、市役所の担当職員が会社に電話で退職の確認をしてくれ、その場で国民健康保険証を交付してくれます。国民皆保険という建前上、このような対応が正しいと思うのですが、市区町村によっては、資格喪失証明書がなければ門前払い、まったく国民健康保険への加入手続きを行ってくれないところもあるようです。

会社としては、社会保険の資格喪失手続きを行ったなら、従業員に対して「健康保険資格喪失証明書を交付すべきでしょう。この証明書の様式は会社の任意ですので、決まった書式はありません。また、退職した従業員自ら、最寄りの年金事務所で健康保険・厚生年金保険資格喪失等確認請求書によって申請することで、資格喪失証明書を年金事務所から発行してもらうこともできます。この申請方法を案内してもよいかもしれません。

従業員が退職した際には、雇用保険の資格喪失手続きも必要です。この手続きが済まなければ、離職票が交付されません。退職者に離職票が届かなければ、退職者は失業保険の受給手続きを行うことができません

退職者への手続きの遅れが、会社との信頼関係を壊し、会社と退職者との不要なトラブルを引き起こすことがあります。手続きの遅れから会社に不信をもった退職者が、それまでは考えていなかったが残業代未払いやパワハラ・不当解雇等を訴えることがあります。会社の不誠実な対応が退職者の感情を逆なでし、大きなトラブルに発展するのです。

このようなトラブルをできる限り防ぐためにも、行うべき手続きを速やかに行うようにしましょう。会社の誠意ある対応によって防げるトラブルというのは、意外と多くあるものです。

以上を踏まえて、改めてお聞きします。

「御社では、退職時の手続きを速やかに行っていますか?」

image by: Shutterstock.com

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就業規則とは、入社から退社までの「ルールブック」であり、労使トラブルを未然に防ぐ「ワクチン」であり、効率的な事業運営や人材活用を行うための「マニュアル」でもあり、会社と従業員を固く結びつける「運命の赤い糸」でもあります。就業規則の条文一つ一つが、会社を大きく発展させることに寄与し、更には、働く人たちの幸せにも直結します。ぜひ、この場を通じて御社の就業規則をチェックしていただき、問題が生じそうな箇所は見直していただきたいと思います。現役社会保険労務士である私が、そのお手伝いをいたします。

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【著者】 飯田 弘和 【発行周期】 週刊

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