官製相場の限界。日経平均にもNY株にも出た、株価大暴落のサイン

 

現代金融理論

米中通商交渉の難航や景気減速感が出てきたことで、トランプ大統領は、日本と同じような金融財政政策を取り、壁建設やインフラ投資で、財政赤字を増やしてでも景気を維持して株価も維持をしたいようだ。その分国債を増やす方向に舵を取りたいが、その金融財政政策を裏付ける現代金融理論(Modern Monetary Theory)が、米国で大きな議論を呼んでいる。

独自の通貨を持つ国の政府は、通貨を限度なく発行できるため、デフォルト(債務不履行)に陥ることはなく、政府債務残高がどれだけ増加しても問題はない、という考えだ。しかし、パウエルFRB議長は、2月26日の議会証言で「自国通貨での借り入れが可能な国にとって赤字は問題でないという人もいるが、私は間違っていると思う」と明確に否定した。

米国は債権国の日本とは違い、債務国家であり、国債の売り先は海外で、危機になると逃げ足が速くて、ドル安と悪い金利上昇が相乗的に進む可能性が高いことになる。

しかし、トランプ大統領は、ドル高に誘導するFRBを再度、批判している。2,200兆円もの債務を抱える米国政府としては、FRBに長期金利を日本と同じように0%近傍にしてほしいようであるが、そうするためには、FRBが米国債を買うしかないことになる。量的緩和ということでドル安にもなる。

そのことを受けて、FRBが8月から利下げやQEを開始するという観測も出ている。この予測の根拠もMMTのようである。

しかし、FRBは、現在の財政赤字は問題であり、軍事費の削減を求めている。量的緩和と軍事費削減の条件取引のようである。トランプ大統領もシリアやアフガニスタンからの撤退や米韓軍事演習の中止や米軍駐留経費に5割を上乗せた駐留支援費を駐留している国に要求するなどで軍事費の削減を行い始めた

ということは、米国は、中国に経済的な覇権は取られているが、完全に軍事的な覇権国家も止めることになる。その方向に事態は進んでいる。米国は、巨大な軍事費を支える財政基盤を失くしている。

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