【書評】3億円事件の「真犯人」が語る、トンデモすぎた犯行動機

 

「府中三億円事件を計画、実行したのは私です。なぜ、この事件を起こしたのか。なぜ、捕まることなく時効を迎えられたのか。その後、わたしの人生はどうなったのか。事の顛末全てを、ここに書き記していく所存でございます」と、一応爺むさい表現で決意を示す。この老人語りスタイルがじつに不愉快だ。

しかし、延々と述べているのはまったく「事の顛末全てではなくてほとんどが陳腐な青春恋愛話なのだ。読んでいてつらくなるほどヘボい話である。だから、メインストーリーは三億円事件ではない。いや、あんまりバカバカしいから恋愛系は斜め読みしたのだ。交わされる会話の芸のなさといったら。

読者の皆さん、と呼びかける自称三億円事件犯人。事件の動機が人生を賭ける理由が、「恋愛の他にあるでしょうかと開き直られてもなあ。近所の大型書店(がある幸せ!)に行ったら、ベスト10から消えているのでよかった、と思ったら平積みされていた。現在ベスト1は樹木希林『120の遺言』だ。

編集長 柴田忠男

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