それでも、流れは反中にむかう
既述のように中国は、「100万人のウイグル人を強制収容所に入れている!」と国連から非難されている「超人権侵害国家」です。しかし、世界一人権重視のはずの欧州は、あまり中国を批判しない。なぜ?唯一の理由は、「チャイナ・マネーが欲しいから」です。これ、日本も欧州を批判できません。
中国は、今も昔も人権侵害国家でした。しかし、90年代、2000年代、日本企業は、大挙して中国に生産拠点を移した。「人件費が何十分の1になる」、つまり「金の魅力に勝てなかった」のです。進出する際、「人権がな~」などと考えもしなかったでしょう。そう、「金がたっぷりある」「金儲けになる」人権侵害国家とつきあいたい国も会社も山ほどあるのです。
ところが、中国経済は、これから悪くなる一方です。「国家ライフサイクル」でそうなっている。中国のライフサイクルは、2020年までが「成長期の後期」。その後は、低成長の成熟期に入ります。それに、長年の一人っ子政策の結果、日本よりひどい「少子化問題」が襲ってくる。
これについて私は、05年出版の『ボロボロになった覇権国家』からず~~~~と同じことをいっています。この本では、「08年~10年に危機が訪れるが、中国は短期間で危機を乗り切る。しかし、成長は2020年まで」と書いてあります。そう、米中覇権戦争がはじまらなくても、中国経済の繁栄は終わる方向なのです。ところが、米中覇権戦争がはじまって、悪化の速度が加速しています。というわけで、イタリアが当てにしている「チャイナ・マネー」は、今後無くなっていく方向なのです。
金のある人権侵害国家とつきあいたい国は、多い。しかし、金のない人権侵害国家は、ただの人権侵害国家です。金のない人権侵害国家とつきあいたい国はいないのです。日本が、唯一の例外にならないよう、気をつけなければいけません。
日本は、先の大戦で、愚かにもヒトラー側について完敗しました。今回も、中国側について完敗しないよう、気をつけましょう。