実は「はやぶさ2」超スゲー。人気ブロガー・きっこが徹底解説

 

ま、あんまり脱線している余裕はないので、ここからはサクサクと進むけど、昨年2018年6月27日に到着した「はやぶさ2」は、半年以上も掛けて、これからの本番に向けて一連の重要なシーケンスが正常に実施されるかどうかの「クリティカル運用期間」を過ごした。そして、それと同時に、宇宙空間から「リュウグウ」を調査して着陸地点を探していた。それは、リュウグウが予想していたよりも岩でゴツゴツした小惑星で、安全にタッチダウンできそうな広くて平らな場所が見当たらなかったからだ。それに、タッチダウンの直前に地表に向けて弾丸を発射して、飛び散った岩石を回収するから、最初に説明した近赤外分光計「NIRS3」で反射光を分析して「この場所なら水を含んだ岩石がある」という場所でないと意味がないからだ。

そして、やっとのことで見つけた唯一の場所はなんと半径3mほどの狭いエリアだった。高さ60cm以上の岩がある場所にはタッチダウンできないので、直径約900mのリュウグウを半年以上も掛けて調査したけど、この一点しか見つからなかった。「はやぶさ2」は重さが約600kgで、本体の大きさは1m×1.6m×1.26mほどだけど、両サイドに伸ばした翼のようなソーラーパネルまで入れると幅が6mもある。この本体を半径3mほどの狭いエリアにタッチダウンさせるのだから、目の前で操作していても難しそうなのに、それを「はやぶさ2」自身が自分でやらなきゃならない。

地球からリュウグウまでは約3億4000万kmも離れているので、通信に往復に40分ほど掛かってしまう。そのため、タッチダウンを開始してから危険な状態になっても、地球からの通信で操作してストップすることはできない。タッチダウンの工程を事前にプログラミングしておくだけでなく、危険な状況になったら「はやぶさ2が自分で判断して緊急上昇するようにもプログラミングしておかなくてはならない。その上、リュウグウは球体ではなくサイコロのような形の小惑星なので、同じ高度でも場所によって重力の大きさが違う。サイコロの角に当たる部分は重力が大きいため、タッチダウンの時にそちらに引っ張られて軌道が狂ってしまうので、そういうことまですべて計算してプログラミングしたのだ。もう、この時点でシビレちゃうよね。

そして、日本時間2月22日の午前7時29分、「はやぶさ2は見事にタッチダウンに成功したのだ。その誤差は約1mで、「最大誤差2.7mまでならセーフ」と予測されていたから、上出来も上出来、パーフェクトと言っても過言じゃない。だって、地球を出発した時には、リュウグウはもっと平らな小惑星だと推測されていたから、事前には半径50mの場所にタッチダウンする」という計画だったんだよ。それなのに、到着してみたら推測がハズレていて、急遽半径3mの場所にタッチダウンするという計画に変更されたのだ。JAXAの担当者は「当初の設計では半径50m以内の着地を想定していたので、野球場に行くだけのつもりがピッチャーマウンドに降りろと言われ、最後はストライクまで決めてしまった、という感じでしょうか」と述べている。

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