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日本人なら知っておきたい、「緑茶」と「煎茶」の違いって何?

葬儀司会者として、故人を偲ぶナレーション原稿を日々執筆している瑠璃さんが、自身のメルマガ『瑠璃の葬送日記&葬儀ナレーション例文』の中で展開している「似ているけど、微妙に違う言葉」を紹介するコーナー「ことばのちがい」。今回は、一緒くたにしてしまいがちな「緑茶」と「煎茶」の違いをわかりやすく解説しています。さらに、「煎茶」と「深蒸し煎茶」の違いについても教えてくれました。

ことばのちがい:「緑茶」と「煎茶」

日常生活やお手紙、司会業で、ひょっとしたら遭遇するかもしれない、特に我々の場合、ナレーション作成の際に遭遇しそうな「意味や字画、響きが似ているんだけど、微妙に違う」そんな言葉をご紹介するコーナーです。

今回は「緑茶」と「煎茶」。お茶にはいくつかの分類の仕方があり、大きくは緑色の「緑茶」、赤色・褐色の「紅茶」、茶色・黄色の「烏龍(ウーロン)茶」の三つに分けることができます。この分類は製造方法によるもので、お茶の生葉に含まれる「酵素」をどれだけ働かせるかによって決まります。

まず「緑茶」ですが、日本の緑茶の多くは、生葉を蒸すことで加熱し、酵素の働きを止めることから「蒸し製緑茶」と呼ばれます。日本の蒸し製緑茶は種類が豊富です。主なものとしては煎茶、玉露、かぶせ茶、番茶、ほうじ茶、てん茶(抹茶の原料)、玄米茶、茎茶などがあります。

中国の緑茶は、主に釜で炒って加熱し、酵素の働きを止めるため、「釜炒り製緑茶」と呼ばれています。緑茶は日本や中国以外でも、インドやアフリカ諸国で生産されていますが、釜炒り製法のお茶がほとんどです。日本で古くから作られてきた「蒸し製緑茶」は、実は世界的に見てとても個性的な緑茶なのです。

そして「煎茶」。煎茶は、緑茶という大きなカテゴリーの中の一つです。日本で最も多く生産され、長年に渡って親しまれているお茶です。主にお茶の葉の部分でつくられ、甘味・旨味・苦味・渋味のバランスがとれた風味が特徴です。

煎茶は新茶の収穫時期である4、5月に摘まれた「一番茶」を中心に生産されますが、スーパーやドラッグストアなどでは「二番茶」を使った煎茶が、お手頃価格で売れられています。

現在の緑色をした蒸し製の煎茶は、1738年に京都・宇治田原の農家、永谷宗円(ながたにそうえん)によって生み出されたと言われています。 それまで庶民の間で飲まれていた煎茶は茶色(ややこしいですが、皆さんがふだん連想するブラウンです)の粗末なもので色は茶色でしたが、永谷宗円が考案した新たな製茶法「青製煎茶製法」によって、煎茶の姿が一変しました。

お茶の色は鮮やかなグリーンになり、味と香りに優れた高品質の煎茶になったのです。この煎茶は話題を呼び、江戸や上方(近畿地方)を中心に全国に広まり、煎茶の主流となりました。この功績から宗円は「煎茶の祖」と呼ばれています。ちなみに、お茶漬け、ふりかけで知られる「永谷園」の創業者は、永谷宗円の子孫の一人です。

煎茶の製法は、摘んだ生葉を蒸すところからスタート。その後、葉を何段階かに分けて揉み、乾燥させながら形を整えていきます。煎茶を蒸す時間は30~40秒ほどとされていますが、生葉の蒸し時間を2~3倍にして、1~2分ほど蒸してつくったお茶は「深蒸し煎茶」と呼ばれます。茶葉が柔らかくなるので、お茶を淹れたときに成分が抽出されやすく、色も濃い緑になり、味も濃くなります。

式場では、あたたかい日本茶での接待が定番ですが、くれぐれもスタッフさんに対して知識をひけらかすことのありませんように。心の奥底で知っていれば良いのです。

例えばお煎茶を趣味とされた故人様とご縁があった場合などに、その違いを知っておくことで、ナレーションに深みが出るかもしれません。

ああ、なんだかお茶が飲みたくなってきた。

image by: taa22, shutterstock.com

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