創業半世紀のカマボコ店がスポーツマン向けのちくわを発売した訳

aoyama20190411
 

縮小傾向の市場で売上を拡大するためには、ユーザーがどのように自社商品を利用しているのかを知ること、そして少数意見を軽視しないことが重要だとするのは、MBAホルダーの青山烈士さん。青山さんは今回、自身の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』で、その重要なポイントを見事に突き話題となっている「ちくわ」を生み出した企業の戦略・戦術を分析しています。

少数意見をどう捉えるか

今号は、注目を集めている「ちくわ」を分析します。

● 練り製品業界のトップクラスのシェアを誇る「一正蒲鉾」の「スポちく

戦略ショートストーリー

運動が好きな方をターゲットに「ちくわなどの練り製品の製造ノウハウ」に支えられた「手軽にたんぱく質を補給できる」等の強みで差別化しています。

運動後にたんぱく質を補給する新しい選択肢として、「ちくわ」の新たな食べ方を提案することで注目を集めるとともに、運動をする方から支持されています。

■分析のポイント

スポーツの後に、「ちくわ」を食べるというのは新しい発想ですし、とても斬新な提案だと思います。

このような商品がどのように開発されたのかというと、きっかけとなったのが、「ジムでちくわを食べている人がいる」という情報だったようです。恐らく、一正蒲鉾の開発担当の方は、この情報に対して、「なぜだ?」という思いを抱いたのでしょう。

その理由を調べていく過程で、運動後にたんぱく質を補給するために「ちくわ」を食べているということが明らかになり、そういった方のために高たんぱくなスポちくを開発したわけです。

このことは、自社商品がユーザーにどのように利用されているのかを知ることの重要性を示していますね。

そして、そういったユーザーの利用シーンの情報を入手することも大切ですが、入手できても、受け手によって活用できることもありますし、活用できないこともあります。

その差がなぜ生まれるのかと言うと、受け手が情報に疑問を持てるかということと、「少数意見を軽視しないという姿勢を持てるかどうかが要因であることが多いです。

例えば、今回の事例で言えば「ジムでちくわを食べている人がいる」という情報を得た時に、疑問を持つことはもちろん、恐らく、ジムで「ちくわ」を食べている方は、かなりレアケースだと思いますので、そういった方にフォーカスを当てられるかどうかが大きな成果の差につながるということです。

また、「ちくわ」をいままでの延長線上で改善していくのも大切ですが、縮小傾向の市場の中で、売上を拡大するには、「ちくわの新たな用途使い道開発がひとつのセオリーとなります。ですから、いままでと異なるスポーツシーンでの用途を開発できたことは、一正蒲鉾にとっても非常に大きな機会につながる可能性があります。

スポーツ後にたんぱく質を補給するといえば、「プロテイン」が有名ですが、「プロテイン」が苦手な方や面倒に感じる方もいますし、さすがに毎回「プロテイン」では飽きてきたという方もいるようですから、ユーザーにとっては、ヘルシーかつたんぱく質を補給できる「スポちくは新たな選択肢として注目を集めそうです。

今後、「スポちく」が、どのような存在になっていくのか注目していきたいです。

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