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バイクに乗っていてわかった、「座高」と「スタイル」の真実

車には運転者の体格に合わせて調整できる部分が数多くあるのに対し、バイクには調整できる部分がほぼないということについて思いを巡らすのは、メルマガ『8人ばなし』の著者・山崎勝義さん。山崎さんは、バイクは究極のユニバーサルデザインであるとし、それを可能にさせているのが、人間の胴体部分の大きさは、身長差ほど違いがないのだということに思い至ります。そしてさらに、人のスタイルについて、ある結論を導き出しました。

座高のこと

バイクに乗っていて、ふと不思議に思うことがある。それは、乗る人の身長や体型の違い(即ち、個人差)を一切考慮に入れてない割には特に問題が生じていないというところである。

これが車だったら、シートの前後・高低、背もたれの角度、ハンドルの遠近・高低など、ドライバーの体格に合わせて調整できる箇所は結構多い。こういった調整機能があるからこそ、パッと見華奢な女性であっても車両感覚さえつかめていれば大型SUVも難なく運転することができるのである。

然るにバイクは、というとワンサイズしかない。ライダーの体格に合わせて調整できるところがないのである。唯一の例外が、レバー(クラッチや前輪ブレーキ)のリリース時の位置である。逆に言えば、指の長さや手の大きさ以外の個人差は一切無視して設計しているということである。

勿論、無理をすればサスペンションを落としたり、ホイールの径を小さくしたりすることで、ある程度車高を低くしたりはできる。しかし、こうなると最早調整というよりも改造の域である。少なくとも乗り手が替わる度に手軽にできることではない。

とすれば、たった一つのサイズで身長160cmくらいから190cm以上の人までカバーできる、このバイクという乗り物は究極のユニバーサルデザインと言ってもいいのかもしれない。実際、バイクが倒れないようにセンタースタンドを立てて固定した上でシートに座れば誰でもライディングポジションを取ることができる。ハンドルに手が届かないといった事例を聞いたことは少なくとも個人的にはない。

ただ、スタンドを収めてからバイクに跨った場合にはどうしても足着きの良し悪しが個人差として出てしまうから、この段階である程度乗り手を選ぶ乗り物と言えるのかもしれない。但し、前後輪の二点が接地しているため片足だけでも届けば三点接地となり停止していても安定状態を保つことが可能となるから許容範囲は決して狭くはない。小柄な女性ライダーでも上手にシートからお尻をオフセットさせて片足着き停車のスタイルで行けば大型バイクにも乗れるのである。

このような事実から、人間の身体について一つ興味深いことが分かってくる。人間の身長の高い低いはほとんど下半身の長さで決まるのである。逆に言えば、上半身、即ち座高にはあまり差がないということである。そのため、シートに座りさえすれば誰もがライディングポジションを取ることができる一方で、足着きの良し悪しの差が生じるのである。自転車も同様で、乗り手の身長の高い低いは一般的にはサドル位置の高さで分かる。

では、座高にあまり個人差が出ないのはどういう理由からであろうか。それは上半身(胴体部分)というものがそもそも健全な臓器を収めるのに必要十分なスペースを確保すべく発達したものだからである。

見た目には大柄であったり小柄であったりしても、個々の臓器の大きさには左程の違いは出ない。故にそれらを収めるべく発達した胴体部分に左程の違いが出ないのは当然と言えば当然なのである。

結局は脚の長さである。身長の高い人は即ち脚の長い人であり、そこでしか差が出ない以上、脚の長い人は即ちスタイルのいい人ということになるのであろう。

但し、スタイルと言っても横方向の大きさに関してはこの限りではないので、そこら辺のところは悪しからずご了承願いたい。

image by: shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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【著者】 山崎勝義 【月額】 ¥220/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火曜日 発行予定

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