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「糖質=悪」のイメージ生む論調にNO。摂取ノウハウをプロが伝授

「糖質制限で瞬発系競技のパフォーマンスが向上する」。そう受け取られかねないニュース番組が放映されていたようです。メルマガ『届け!ボディメイクのプロ「桑原塾」からの熱きメッセージ』を主宰する桑原塾長の元に、番組を見て違和感を抱いた読者から質問が届きました。塾長は、瞬発系に限らず、競技力向上に欠かせないグリコーゲンは糖質からしか作れないと解説。摂取するタイミングと種類についても詳しく教えてくれます。

糖質制限。短距離選手もパフォーマンスが向上するのか?

Q. テレビの特集で、100mスプリンターの女子選手が糖質制限をしてパフォーマンスを向上させている旨の事が放映されていました。

単に痩せるという事だけでなく、瞬発系の競技においても何か糖質制限をするとパフォーマンスの向上になる理由があるのでしょうか。

むしろ糖質を摂らないといけないと思っていたので、どのように理解していいのか困っています。現在は選手ではなく、指導をする側の立場です。(37歳、男性)

桑原塾長からの回答

私もそのニュース番組を見ていたと思います。恐らく同じ番組ではないでしょうか。録画をしていたわけではないので記憶が曖昧な箇所もありますが、視聴者が誤解をするだろうなと心配になったことは明確に覚えています。

まず、糖質制限は、太り過ぎないためとか、その人の適正体重を維持するというためのひとつの手段としてはゼロではありません。

しかし、糖質制限そのものがパフォーマンスの向上に繋がる事はほとんどなく、むしろ、マイナスの要因の方が多いので、きっと勘違いされる視聴者が増えるだろうと心配したのです。

最初に、糖質にも色々な種類があって、砂糖も糖質ですし白米も糖質。さつまいもやサプリメントに使われるマルトデキストリン(MD)も糖質です。そのすべてをひっくるめて悪とするのは、そもそもナンセンスです。

次に、どのタイミングなのかが、非常に重要です。同じ糖質でも、朝は◎でも就寝前は×のケースが大半ですし、糖質の種類によっては練習前は×で直後は◎になったりもします。

最後に、どの程度の糖質制限なのかにもよります。少し糖質をガマンしているだけで糖質制限という呼び方をする人もいるでしょうし、本気に終日一切の糖質を摂らないといったケースもあるでしょう。

適正体重を維持するために、太りやすい体質も考慮して晩ごはんの糖質を減らす、もしくはカットして、朝ご飯や練習に絡めての糖質はしっかりとその種類も意識して摂取するのであれば、問題ないからです(むしろお勧めです)。

私がテレビ番組から受けた印象としては、糖質制限をするというその姿勢がストイックで素晴らしいと云う事を言いたいがために、あたかも糖質制限が彼女の成功のキーであるかのごとく表現してしまった点にあると思っています。

ご存知のとおり、どんな競技においてもグリコーゲンはパフォーマンス向上に欠かせません。そして、グリコーゲンは糖質からしか作ることができません。

つまり、もし糖質制限をした結果、グリコーゲンが少なくなるようであれば、それはパフォーマンスの低下原因以外の何ものでもないのです。

まずは、グリコーゲンを如何に充足させるか、出来るならば少しでもそのタンクを大きく出来ないかということを前提においたうえで、適正体重にする方法を考えるべきでしょう。

多くの競技において適正体重を理解し、そこにもっていくかはパフォーマンスに直結します。しかし、適正体重にする手段は糖質制限だけではなく、言ってみれば幾つも存在するわけです。一方で、グリコーゲンを蓄える手段は糖質以外にないのですから。

日常的に食する糖質としては吸収スピードが緩やかな複合炭水化物をメインとして、更に意識をもつならばGI値まで意識をしてGI値が低めのものを食するようにします。

そして、午前中を中心にしたシーンと、練習直後に関しては積極的に糖質を摂り入れていくようにします。この場合、午前中に関してはGI値の低い複合炭水化物を選び、練習後はGI値が高めのものにします。

また、練習に絡めても、練習前にはブドウ糖や砂糖は控えるようにして、MDなどの補給としますが、直後に関しては単糖類も可となります。

更には、練習中においては、低浸透圧のCCDのようなドリンクを水分補給として活用をしたり、もし、長時間の練習の場合にはMDを利用したジェルなどで補給をするといいでしょう。

仮に、糖質制限をするのであれば、ひとつはオヤツとしての間食でしょう。意味をもった間食であれば構いませんが、単にお腹がすいたという理由で糖質を摂るのはお勧めできません。適正体重の維持に反するからです。

それともうひとつは、晩ご飯です。まったくのカットはお勧めしたくないのですが、ある程度、体が出来上がった選手の場合は、晩ごはんの糖質は減らす事で体重の維持がしやすくなります。この場合も練習直後のグリコーゲンリカバリーのための糖質は摂るようにします。

糖質、脂質、タンパク質は三大栄養素と呼ばれますが、それはこの3つの栄養素しかカロリーをもたないからです。つまり、それ程重要であって、栄養素の中でも群を抜いて優先順位が高いのです。

問題は過剰か否かという点です。仮に不足という状況が生まれてしまうと、これは過剰以上にパフォーマンスには悪影響を及ぼします。なにせ三大栄養素なのですから。

是非、過剰か否かをしっかりとチェックしたうえで、タイミングと糖質の内容も理解して対応をしてください。

image by: Skumer, shutterstock.com

桑原弘樹この著者の記事一覧

桑原塾塾長 桑原弘樹は、国内大手食品メーカーでサプリメント事業を立ち上げ、全商品の企画開発に携わる一方、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部PDAなどの立場で、国内外問わず多くのトップアスリートに直にコンディショニング指導を行ってきた。サプリメントは作るだけにとどまらず、「日本で一番使っているのでは」と豪語するほどのユーザーでもあり、年間300回のワークアウトも欠かさない。サプリメントやダイエットなどの分野で、多くの情報が散乱する昨今。サプリメントを作り、自ら試し、活用法を指導してきた、桑原塾長が、本物で価値あるボディメイク情報を提供すべく、スクランブル発進する!!!

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