素朴な疑問。なぜ、新紙幣の発行開始は今から5年も後なのか?

 

図柄の選考基準としては、偽造防止に必要な精密な写真が残っており国民に知られ業績が広く認められている明治以降の文化人としたようで、政治家は時代によって評価が変わりかねないため避けたといわれる。24年度発行となったのは印刷開始まで2年半かかり、自動販売機などの機械を入れ替える準備に2年半と計5年の期間が必要なためと説明している。

新紙幣の発行は印刷機械関連企業にとって特需になるが、その効果は全体で1.3兆円程度、経済成長率を0.1%ほど押し上げるぐらいで、それほど大きなものにはならない。また五百円硬貨も素材が変更され2色構造となる。

むろん現在のお札や五百円硬貨も引き続き使えるので詐欺行為などの注意は厳しく呼びかけてゆくだろう。

新元号が令和になる時に発表したが、実際の新紙幣の発行は5年後なので、令和との相乗効果はほとんどなさそうだ。ただ安倍首相にとっては、まだパッとした業績が見当たらないだけに新紙幣発行時の首相として名が残るかもしれない。本当は拉致近隣諸国との関係改善実質賃金の上昇などで名を残す業績をあげて欲しいのだが…。

(Japan In-depth 2019年4月29日)

※ブログに新紙幣と新五百円硬貨のデザインを掲載しましたのでご興味をお持ちの方は合わせて以下リンクを参照下さい。

時代を読む 新紙幣発行より賃上げが必要

image by: 日銀プレスリリース

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ジャーナリスト。1942年生。慶応大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。大蔵省、日銀、財界、ワシントン特派員等を経て1987年からフリー。TBSテレビ「ブロードキャスター」「NEWS23」「朝ズバッ!」等のコメンテーター、BS-TBS「グローバル・ナビフロント」のキャスターを約15年務め、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」に27年間出演。現在は、TBSラジオ「嶌信彦 人生百景『志の人たち』」出演。近著にウズベキスタン抑留者のナボイ劇場建設秘話を描いたノンフィクション「伝説となった日本兵捕虜-ソ連四大劇場を建てた男たち-」を角川書店より発売。著書多数。NPO「日本ニュース時事能力検定協会」理事、NPO「日本ウズベキスタン協会」 会長。先進国サミットの取材は約30回に及ぶ。

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【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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