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ここでもインスタ映え重視?平成世代が住まいを選ぶ「決定打」

30歳から59歳までのいわゆる「昭和世代」の方々は、マンションやお部屋選びにあたり、「日当たりや収納の充実」を重視してきた方が多いかと思います。しかし「平成世代」は、それよりももっと大事な判断基準があるそうです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者の廣田信子さんが、UR都市機構が実施した興味深い調査の結果を紹介するとともに、そこから見えてくる「高経年マンションの今後」について論じています。

若い世代は、まちのブランド、おしゃれさ重視

こんにちは!廣田信子です。

独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が先月、改元を前に発表した調査結果が面白かったです。

『平成』も残りわずか50日!!「平成世代と昭和世代の暮らし意識調査」結果を発表しました

平成世代昭和世代の住まいや地域との関わりといった暮らしへの意識の違いを明らかにすることを目的とした「平成世代と昭和世代の暮らし意識調査」です(インタネット調査、サンプル1,000名、平成世代16~29歳昭和世代30~59歳)。

まず、住む「まち」を決める場合に重視することは、平成世代、昭和世代とも、「買い物環境の充実」が上がっています。大きく違ったのは「職場・学校の近く」で、平成世代では「職住近接」を重視する傾向がはっきり見られます。昭和世代に比べて、平成世代は「まちのブランド」が2倍近くあって、“ブランド重視の傾向が見えます。

では、自分が住む「住宅」を決める場合に重視することは…というと、昭和世代と平成世代で大きく違うのは、昭和世代が重視する「日当たり」「隣にどんな人が住んでいるか」「収納の充実」は平成世代ではあまり重視されず、逆に、平成世代では、「キッチンなどの最新機器の充実」「デザイン性」が重視される傾向がありました。SNS時代には、「インスタ映えするおしゃれ感が重要視されると分析されています。

さて…この調査で、昭和世代とされるのは、「30~59歳」、管理組合運営では、十分、若手とされる世代です。このさらに上の世代「60歳以上」とは、もっとギャップがあるでしょうね。ちなみに、先日発表になった「平成30年度マンション総合調査結果」では、世帯主の年齢が、60歳代が27.0%70歳以上が19.3%でした。

高経年マンションで、若い世代に入居してもらいたいと思ったら、自分たちのマンションの「魅力」を、自分たち目線でなく若者目線で考えなければなりません。高齢の役員の方が集まっての、若い世代をどうして呼び込むかという議論を聞いていると、どこか感覚がずれているように感じることがあります。この調査結果は参考になると思います。「まちのブランド」がある地域なら、高経年マンションでも、やり方次第で新たな価値を生み出せそうです。

また、「まちのブランド」はちょっとハードルが高かったら、マンションの「デザイン性の高さ」「水回り等の機器の充実」で若い人を引き付けられる可能性がありそうです。

等々。で、そういった事例をインターネット上で発信していく…。その積み重ねで、新たなマンションとしてのブランドが育つ可能性があります。まず、若い世代の価値観を知るマーケティングから始めることが大事なんでしょうね。

というと、そんな若い人たちの価値観に媚びる必要はない、まず、自分たちが高齢になっても住み心地がいいことが一番だ。という声が聞こえてきそうです。それは、その通りなのです。だから、高経年マンションで若い世代を呼び込もうという掛け声はなかなか結果に結びつかないのです。本当に望んでいないことは実現しないのです。

また、子ども家族が、親との近居でマンションに戻ってきて若い世代が増えている。だからうちのマンションは大丈夫だという話をよく耳にします。それは、すばらしいことですが、その場合、入居の動機が、必ずしも自分の育ったマンションが魅力的だったからここに住みたい思って帰ってきた…とばかりは言えないのです。

親の近くに住んで孫の面倒をみてもらいたい、高齢の親の見守りがしやすいように近くに住む、親が、近くに住むならとマンションの購入資金を負担してくれる、等々、家族の事情が大きいことが多いので、子供たちが帰って来たから、このマンションはこのままでもだいじょうぶ、若い世代にも魅力的なんだと安心するのは、ちょっと心配です。

何だか、いやなことを言うようでごめんなさい。自分たちの心地よさを維持しながら、若い人たちの感性を取り込んでいくというのは、簡単ではないのです。それでも、若い世代のことを理解しようという気持ちだけは持っていたいと思います。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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