ごまかしとウソだらけ。海外逃亡を願う中国人が増え続ける理由

 

しかし、ネット時代の今、そうそう情報規制ができるものではありません。ちょっとネットを検索すれば、現地での捜索の様子や、テレビの報道番組、現地で撮影された動画などがどんどん出てきますし、美談で済ませられる問題ではありません。

当局は、工場責任者を拘束して事故の責任を問う姿勢のようですが、責任は工場責任者にはないでしょう。問題の根はもっと深いところにあるのだと思います。中国における危機管理、危機意識の欠如、経営者と行政の癒着などなど、様々な問題が山積した結果の事故です。

そうした闇の部分に少しも光をあてることなく、被害者を利用して美談に仕立て上げることに何の意味があるのでしょうか。これでは、同じ悲劇を何度繰り返しても改善の見込みはありません。

2015年8月に天津で起こった大爆発事故でも、当局による隠蔽工作が行われ、現地のスクープ写真が没収されたり、あるいは原因に対する議論すらも封殺され、現在もなお原因が完全にはわかっていません。今回の事故も同様に、真の原因究明をするのではなく、「美談」でごまかそうとしているわけです。

政府への批判をかわすための小手先のごまかしで、死亡した64名の人々や重軽傷の多くの人々が手厚い補償も受けずに泣き寝入りさせられるのです。

3月23日に、湖南省でも爆発事故がありました。高速道路を走行中の高速バスが突然炎上して26名が死亡、28名が重軽傷を負いました。この事故も、運転手が事故の責任者として拘束されました。

これらの人災を、すべて美談で終わせるつもりでしょうか。事故に遭って、虫の息になったところを救助隊員に救われた人々は、まるで幸運だったかのように報じられるのです。

「報喜不報憂」(良いことだけをニュースとして伝え、悪いことは伝えない)という古来の中華風情報伝達の掟があり、それは彼らの美徳でもあります。日本のマスメディアのような「あらさがし」的な報道は、彼らにとっては外道なのです。

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