その一方で、「孫氏の兵法」以来の手法であるフェイクニュースを流すことも、彼らの得意技のひとつです。中国でもっとも有名なフェイクニュースは、毛沢東が長江を水泳で渡ったというものです。
しかしその映像は、波と人の進む方向が逆だったということが判明して、フェイクだと暴かれてしまい、世界的な話題となりました。結局この事件は、『人民日報』の副編集長が引責辞任することで落着しました。こうしたフェイクニュースを流すのは、昔から中国人の得意分野なのです。アメリカ人長老教会の宣教師であったアーサー・スミスは、『支那人の性格』という著書の中で、中国人は「曲解の名人」だと述べています。
中国は、天災の国としても昔からよく知られていますが、今では人災の国となっています。2011年7月高速鉄道の追突脱線事故、2015年6月長江の船の転覆など、大規模な事故が起こるたびに、美談ばかりが報道されてきました。
これは、中国の得意な手法です。独裁政治の中国は、言論や表現の統制から全人民のデジタル管理まで進めており、中国型人間管理法を完成させようとしています。
また、習近平がいくら権力を集中させても、思いのままに人とカネの流れを阻止することはできません。独裁社会に嫌気がさした人々は、中国を脱出して諸外国に逃げたいと思っており、国外逃亡を希望する中国人の数は、人口の3分の2にあたる約10憶人にも及ぶといわれています。
昔から難民と流民は中国の領土拡大の原動力でしたが、現在は国民国家の時代です。いかに魅力ある国を作るかが、国民国家の条件ともなりますが、中国はウソと隠蔽で情報統制する国ですから、誰も魅力を感じないのです。今回の爆発事故のように、いくら美談をでっち上げても、ネットなどを通じてどうしても真実は漏洩してしまいます。
誰もが中国共産党の言うことは嘘だと思っているため、いつまでも国民国家になれず、むしろ海外逃亡したいと願う人民が増え続けることになるわけです。
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