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ファーウェイ騒動を予見か。ドコモ「今夏」でチャイナリスク回避

5月22日、相次いでファーウェイ新製品の発売を延期とした、国内大手キャリアとMVNO。世界的に狭まるファーウェイ包囲網を鑑みた上での判断ですが、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんによると、NTTドコモだけは「どことなくチャイナリスクを意識しているように思える」そうです。なぜ石川さんはそのように見るのでしょうか。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』にその理由が記されていました。

ファーウェイ新商品の販売延期――水面下でチャイナリスクを意識していたNTTドコモ

5月22日、2日後の発売を控えてKDDIとソフトバンク、UQモバイルがファーウェイ製品の発売延期を決めた。さすがにこの騒動の最中にキャリアブランドの製品を市場に投入するというのは困難であっただろう。様子見する上で、販売延期を決断するのは無理もないことだ。

一方、ちょっと余裕を感じたのはNTTドコモだ。夏モデルのP30 Proは「今夏」発売予定というスケジュール。22日の午前中にNTTドコモの販売担当者は「販売は状況を見て判断する」とのコメントを発していたが、結局、午後にはKDDIとソフトバンクの動きを見て「予約停止」を決めたようだ。

今回、NTTドコモの「今夏」という設定が絶妙だったように思う。業界内の噂では、6月中の発売を予定していたらしいがなぜか今夏という書き方になっていた。同じく、6月中に発売される計画であったソニー・Xperia 1が6月中旬、arrows Be3が6月上旬になっているにも関わらずだ。

たまたま「今夏」というワードを使っていたため、今回の混乱でも「販売延期」ではなく「予約停止にすることができたというわけだ。

ただ、NTTドコモの夏商戦ラインナップを見ると、どことなく「チャイナリスク」を意識しているように思える。

今回、データ通信製品として発表されたのはWi-Fi STATION SH-05L。SHつまりシャープ製が採用された。過去を振り返ってみても、シャープがモバイルWi-Fiルーターを作るなんて珍しい。

しかも、最高速度は988Mbps。通常、NTTドコモのモバイルWi-Fiルーターは、スマホよりも先に、新しい周波数帯に対応し、NTTドコモのネットワークにおける最高速度を更新するという役割を担ってきたが、今回は988Mbps。夏モデルのスマホでは3.4GHz帯に対応し、5つの周波数帯を束ねたキャリアアグリゲーションにより、1,576Mbpsという国内最高速をマークするにも関わらずだ。

「なぜ、このタイミングにシャープがモバイルWi-Fiルーターを手がけるのか」というのを関係者に聞いたところ、「米国企業と取引のある法人顧客は、ファーウェイのモバイルWi-Fiルーターを選びづらい。日本メーカー製も用意し選択肢を与える必要がある」という。

これまで、日本メーカーもモバイルWi-Fiルーターを手がけていたが、どうやらギブアップしたため、シャープにお鉢が回ってきたようだ。

NTTドコモ向けのファーウェイ製品といえば、モバイルWi-Fiルーターだけでなく、タブレットやキッズケータイなどもある。今後、スマホ以外の製品も、日本メーカー製に切り替わっていく可能性がありそうだ。

キャリアの在庫端末処分には「総務省へのお伺い」が必要━━日本のスマホ市場に自由競争は存在するのか

6月1日の新料金プラン開始に向けて、NTTドコモは5月22日から予約を開始した。それに伴い、毎月の支払いをシミュレーションできる「しっかり料金シミュレーション」というサイトがオープンしている。

すでにケータイWatch「みんなのケータイ」で試した様子をレポートしたが、これが意外としっかりしたシミュレーターになっており、NTTドコモユーザーは是非とも一度試した方がいいと思える代物に仕上がっている。

新料金プランは「月々サポートが切れたら移行」というのが鉄則だが、まさに「月々サポートがあるから現行プランの方がいい」とか「この回線は月々サポートが2020年6月に切れる」といった案内までしてくれるのが親切なのだ。

そんななか、これまで料金や販売方法など、いろいろと取材をしているが、なかでも驚いたエピソードが「在庫処分にまつわる話だ。スマホの在庫処分に関しては、割引を大量に適用して売りさばくため、どうしても「一括ゼロ円に近いような売りになってしまう。結果として「新規契約を稼ぐための目玉商品」のように見えてしまう感がある。

今回、分離プランの導入など、電気通信事業法が改正されるが、端末に対する割引はいくらまでが望ましいか」といった議論も今後、総務省で行われる見込みだ。

ただ、ちょっと驚いたのが、現状、キャリアが端末を在庫処分るために割引で販売する際には、予め総務省にお伺いを立てないといけないことになっているのだという。

在庫の余り具合を説明し、「だから割引で売りたい」というのを説明する必要があるのだという。

「キャリアがスマホを割引で売るのに総務省に確認が必要」という事実に耳を疑った。なぜ、民間企業の販売施策に対して、総務省がそこまで口出しをする必要があるのか。

過剰な端末割引を抑制するためのようだが、総務省の管理下に置かれた割引施策など、もはや競争ではないのではないだろうか。

KDDIの高橋誠社長もケータイWatchのインタビューで「総務省は口出ししすぎではないだろうか」と苦言を呈していたが、まさにここまで口出ししているとは思わなかった。

今回の電気通信事業法改正で、「販売店を届け制にする」という項目があるが、まさに何でもかんでも口出しして管理したいという総務省の自己顕示欲むき出しな法改正と言えるだろう。

はたして、ここまで総務省がやりたいようにやった結果、消費者に幸せなスマホライフは訪れるのか。今回の法改正が失敗したらあらゆるところに口出ししてきた総務省にはきちんと反省してもらいたいものだ。

image by: Huawei Mobile - Home | Facebook

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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