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サプリの専門家が教える。トライアスリートが摂取すべき栄養素

メルマガ『届け!ボディメイクのプロ「桑原塾」からの熱きメッセージ』の読者から、ランナー兼トライアスリートのサプリメントについての質問が届きました。桑原弘樹塾長は、まずはランニングとトライアスロンの競技特性について解説。エネルギー配分のスポーツであるランニングと違い、エネルギー産出の競技であるトライアスロンで摂取を意識すべき栄養素について教えてくれます。

ランナー兼トライアスリートのサプリメント活用法

Q. 自分はランナーなのですがトライアスロンもやっていて、どういったサプリメントが必要なのかで悩んでいるところです。(47歳、男性)

桑原塾長からの回答

どんな競技でもビギナーのうちは、ひたすらその競技の練習をする事が上達の近道です。私もプロ野球やプロゴルフの選手の筋トレをオフの期間にみたりしますが、プロの選手でもオフに何をしたらいいのかは悩みますし、人によってやる内容もまちまちです。

ただ、一つ言えるのは、オフにもひたすらその競技をやり続けた方が目先のパフォーマンスは確実にあがると思います。つまり、プロ野球の選手も、オフに色々と別のトレーニングはせずに、ひたすら野球の練習をやり続けた方がとりあえずのパフォーマンスは向上するということです。

では、何故そうしないのでしょうか?(中にはしている選手もいるかもしれませんが)それはある程度のレベルに達してしまうと、その後の伸びが一気に鈍化してしまうからです。では、本来の練習以外に何をしたらいいのかを考えた時に、その競技独特の特性を少し考えてみるとヒントが出てくるのです。

例えば、ランニングの競技特性とは、一つは走行距離です。つまり、練習をすればするほどとりあえずパフォーマンスはアップしていきます。

そして、もう一つは体重なのです。他の様々な競技のトップ選手同士を比べた時、ランニングの選手はBMIが低めなのです。この競技特性を考えれば、沢山練習をして痩せる努力をすれば、ランのパフォーマンスは上がっていく事になります。

まさに、ビキナーの頃はこの原則がドンピシャと当てはまりますから、中途半端に筋トレをしたり、他の競技を練習に取り入れるよりもランニングに没頭するべきなのです。

しかし、少しパフォーマンスが向上してくると、逆にこの原則がマイナスに作用する可能性が生まれてきます。例えば、活性酸素が溜まって疲労が抜けなくなったりとか、体重が落ちてスタミナがなくなるとか、これまでの原則が生み出す副作用の方が問題になったりするのです。

競技特性を考えるという事は、時にはそこからの副作用を見つけ出してそこに対応するためであったりもするのです。

走れば走るほど活性酸素は溜まっていきますし、グリコーゲンは減っていきます。あるレベルに達したら活性酸素対策と、グリコーゲンリカバリーへの意識をグッとあげてやる必要が生まれてきます。また体重もひたすら痩せた方がいいというわけではありません。その競技、またその人の適正体重を目指すとういことです。

また、これは少し高度なレベルになるかもしれませんが、その適正体重を少しずつ上げていくというのがトップランナーとしての条件になるように思います。どんなトップランナーも最初はビギナーです。従って、始めのうちは走行距離と減量によってパフォーマンスをあげていったはずです。

そうなると、どうしてもその原則が忘れられなくなってしまい、いつまでもひたすら走行距離と体重減を目指すというスパイラルに陥る危険性が生まれてくるので要注意です。

次に、トライアスロンの場合は、少しランと競技特性が変わってくるかと思います。トライアスロンはランニング出身者が有利とも言われていますし、実際に元ランナーは多いので間違いではありませんが、当然ながら別競技ということになります。

一言で言えば、トータルの強度がランに比べて図抜けて高くなるということです。ランも決して楽な競技ではありませんが、エネルギーをどううまく使うかという観点になります。エネルギー配分の競技といってもいいかもしれません。

ところが、トライアスロンやウルトラマラソン、トレランなどはエネルギー配分で賄える強度ではありません。エネルギー産出の競技と言えるのではないでしょうか。

私たちの肉体は負荷への適応という形で進化をしていきます。マラソンの場合は、42kmという負荷に肉体が適応していくことでタイムが向上するのです。これがトライアスロンになると、負荷が大きすぎるので拒絶反応が起こりやすくなります。

足が攣るとか、気分が悪くなるとか、それぞれの対処法はとても大切ではありますが、この状況自体が負荷に対して拒絶反応を起こしているということですから、対処法を覚えて対応するのではなく、拒絶反応が起こらないように適応力をあげていく事が根本的な解決でありパフォーマンスの向上なのです。

当然、その適応するための施策は簡単ではありません。より高度かつち密な練習が必要となりますし、練習の中身にはサプリメントも含めた栄養と休息の要素が相当重要になってきます。

サプリメントというよりも、栄養素や成分という観点になりますが、まず「酸素」という要素をいかに最大限利用できる環境を整えるかです。エネルギー産出に酸素は絶対的に必要だからです。

結論としては、ヘム鉄、EPA、パプリカキサントフィルの3つを取り入れたいところです。どれもレースの1週間ほど前からは、少し多めの量をローディングすると効果的です。

もう一つ重要なのはグリコーゲンです。やはり、糖質はしっかりと溜めておきたいのですが、グリコーゲンリカバリーの優先順位をあげるようにするといいでしょう。

そしてもう一つ秘密兵器的に役立つのが、コエンザイムQ10です。糖質も脂質もすべてはエネルギーを作るための材料です。この材料が最後の最後で、酸素と反応してエネルギー(ATP)を産生するわけですが、その手前にある最後の関門がコエンザイムQ10なのです。

材料がどんどんとエネルギーに近い形へと変化していって、最後に酸素と結びつくのですが、その最終段階で必ずコエンザイムQ10に受け渡される仕組みになっているのです。

ところが、このコエンザイムQ10は二十歳あたりから早々に体内での合成が減っていくため、歳を重ねれば重ねるほどエネルギー産生の能力が落ちてしまうのです。

通常の日常生活ではあまり感じにくいかもしれませんが、トライアスロンのような拒絶反応すら引き起こす強度になってくると、このエネルギー産生の能力を上げてやる工夫がサプリメント的にはパフォーマンスアップに繋がりやすいといえます。

image by: Maridav; shutterstock.com

桑原弘樹この著者の記事一覧

桑原塾塾長 桑原弘樹は、国内大手食品メーカーでサプリメント事業を立ち上げ、全商品の企画開発に携わる一方、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部PDAなどの立場で、国内外問わず多くのトップアスリートに直にコンディショニング指導を行ってきた。サプリメントは作るだけにとどまらず、「日本で一番使っているのでは」と豪語するほどのユーザーでもあり、年間300回のワークアウトも欠かさない。サプリメントやダイエットなどの分野で、多くの情報が散乱する昨今。サプリメントを作り、自ら試し、活用法を指導してきた、桑原塾長が、本物で価値あるボディメイク情報を提供すべく、スクランブル発進する!!!

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