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露天風呂、野天風呂、野湯の違いは?元旅行誌編集長に聞いてみた

開放的な温泉が気持ちのいい季節になりました。ところで、屋外の温泉には、「露天風呂」「野天風呂」「野湯」などの名前がついていますが、はっきりとした違い、定義はあるのでしょうか?そんな質問が、メルマガ『『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』の読者から届きました。旅行誌編集者時代に、それらの言葉の違いを調べたことがあるという飯塚さんが、個人的な定義を披露。異論も歓迎し、温泉談義のネタとしてオススメしています。

露天風呂と野天風呂、野湯の違いは?

先週、常連読者の「こたヤンさん」から以下のようなメールが届いた。

飯塚さん今晩は!

先日、GWに初めて野湯デビューと送りましたが~~、まだ温泉好きだったけど、それ程勉強もせず詳しくない20年ほど前、石川県の旧白山スーパー林道、白山白川ホワイトロード沿いの親谷の湯に入った事有りましたー!

ま、一応あそこは当時も今も?清掃などの管理はされている?

と思いますが、GWは自分で湯船を作るタイプでしたので、そういう管理されてない野湯と言う意味では初めてでしたが。 

と、メールついでに質モーン! 

「野湯」とは如何に? 

何かしらの定義のようなものは有るのでしょうか?露天風呂、野天湯、野天風呂、野湯などなど色々な呼び方があると思いますが、それぞれの呼び方の違いによる定義的なものはありますかー?(京都・こたヤンさん)

こたヤンさん、メールありがとうございます。

さてこの言葉の違い、大昔、まだ旅雑誌の編集部にいたときに調べたことがあります。が、結局同じもの、ということに決着したことを覚えています。

今回再び、まず「露天」の意味を調べてみると、『デジタル大辞泉』では「屋根がなく、あらわになっているところ。野天」。『大辞林』では「屋根の無いところ。野外。野天」となっています。

「露天風呂」を『デジタル大辞林』で調べても、「野外にあって、屋根や囲いを設けない風呂。野天風呂」となっております。つまり「広義の意味では」この二つは同じもので、名付けている人や宿によって変わっているだけ、と言えると思います。

が、編集部時代に箱根町観光協会の事務局長が僕に示した見解では、「露天風呂は外にあればなんでもいいけど、東屋風のものでも屋根が載っているものは野天風呂とは言わない。これは露天風呂であって、野天風呂は天、つまり空が抜けているお風呂だと考える」とのことでありました。なかなか納得のいく説明、捉え方のようにも思います。

ちなみにウィキペディアでは「露天風呂」の解説は以下の通りです。

「露天風呂 by ウィキペディア」

このウィキのページに載っている写真が南紀勝浦の『ホテル中ノ島』の露天風呂というのが、結構わかりやすいわけですが、このお風呂は「野天風呂」と呼んでもしっくり来る気がします。

一方で、別府観海寺の『ホテル杉乃井』の「棚湯」は、どうも「野天」という言葉がしっくりこない気がするのは僕だけでしょうか?やはり「野天」は、「露天」よりも、よりワイルドなイメージを受けます。

「野湯」というのは、僕の中ではさらにワイルドなものです。「親谷の湯」や、北海道の「コタンの湯」などは「野湯」と呼べるかもしれませんが、やっぱりもっと人手がかかっていない、自然のまんまの温泉こそが「野湯」なのではないかと思っております。ただ、海辺の温泉野天風呂なんかだと、フナムシとの戦いがあるから、野湯と呼んでもいい気もします。

そう考えていくと、僕の中で「野湯」というものは、清潔感が乏しいもの、という印象があるわけで、これが、僕が野湯をあまり好きになれない理由です。もちろん清潔に管理されているけれども人工的でなく、野趣もたっぷりという野湯もたくさんあります。

もう一つ、僕個人の定義では、野湯というものは、自然湧出でないといけない気がします。自然に湧いているものに浸かる喜び、というのが野湯の醍醐味だと思います。むろん、基本は源泉かけ流しです。アツ過ぎる場合に川水を引き込んだりして調整するものは、加水があっても野湯かな、と。

本物の野湯は掃除をしていないので清潔とは言い難いですが、湯自体は極めてフレッシュで清潔です。これを持って良しとするかどうか、これは個人の好みで良いと思います。あくまで僕個人としては、ナメクジさんたちと一緒に入浴するのは苦手だな、ということです(でも、結局あれば入るんだけども)。

結論としては(あくまで僕自身の、という意味ですが)、広義の意味では露天風呂も野天風呂も野湯も同じもの、一方で、狭義の意味では、四方と天井のいずれかが塞がれていなければ「露天風呂」であり、その中でも天井が抜けていて、野趣があるのが「野天風呂」。さらに、人の手がかかっていない自然なままのお湯に浸かるお風呂が「野湯」、ということになります。

と個人的な定義づけをしましたが、やっぱりこれは個人の感覚的なものだと思うので、温泉談義をするときのネタにはオススメです。

僕の場合、湯原の砂湯は野湯、蓮華温泉の露天風呂群は全部野天風呂、尻焼温泉露天風呂は野湯、宝川温泉は野天風呂、箱根や湯河原の宿の大半は露天風呂で、黄金崎不老ふ死温泉の海岸の風呂は野天風呂と野湯の中間(波が高いと水没するので)、という感じです。
異論のある方、ぜひともメールをお待ちしています!

image by: KoreaKHW, shutterstock.com

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【著者】 飯塚玲児 【月額】 初月無料!330円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日or木曜日配信 発行予定

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