プーチン激怒、ブンむくれ金正恩。安倍首相の外交が失敗続きの理由

 

インテリジェンスの「三角形」

私はかつて大学で「インテリジェンスの技法」と題したゼミを持っていた時に、それを鍛えるための方法論を次のような三角形を図示して、この三角形が右回り・左回りにグルグル回る真ん中にインテリジェンスが宿ると説明した。

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例えばベートーベンが森の小径を散歩していて、たまたま耳にした鳥のさえずりに閃きを得て田園交響曲の出だしの第1主題が浮かんだとすれば、それはもっぱら直感力の働きである。それを起点に想像力があちこちに広がっていろいろな想念が浮かんで主題が転がり、すぐに第2主題がかぶさってくるといった展開のプロセスは、想像力の働きによる。それで家に帰ってピアノの前に座ると、もう最初の部分は出来上がっていて、楽理と楽譜という超論理的な世界共通言語に置き換えられて、他者に伝達可能な形式に定着されていく──というようなことである。

後世の指揮者と楽団員は、その楽譜を頼りにしつつもそれぞれに想像力を働かせて独自の解釈を付け加えて再演し、聴衆はそれを視聴覚を通じて直感力で受け止めて「今日の演奏はよかった」とかそうでないとか感じ取りながら、想像力を働かせつつ感動を得るのである。

この三角形がうまく回転するように鍛えていくためのインテリジェンスの練習が、私に言わせると「教育」の中心目標でなければならない。ところがこの国では、インフォメーションの詰め込みが中初等教育の主眼で、それはそれである程度必要なことではあるけれども、高等教育ではインテリジェンス教育に進めなければならないのに、大学でもまだインフォメーション教育を続けていることが少なくない。

その結果、何が起きるかというと、インフォメーションの扱いには長けているけれども実は何も考えていなかったり、他者への想像力を全く持たなくて自分勝手を押し通すことに何の自覚も持たなかったりする、酷く偏った人格が形成されていくのである。

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