プーチン激怒、ブンむくれ金正恩。安倍首相の外交が失敗続きの理由

2019.06.04
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takano20190603
 

令和初の国賓として迎えたトランプ大統領には、貿易交渉妥結時期の参院選後への先延ばしという借りを作り、前提条件無しでの金正恩委員長との会談を目指すとしたものの、北朝鮮サイドから「厚かましい」と反発を受けるなど、疑問を感ぜざるを得ない安倍首相の外交手腕。その「詰め切らなさ」は何に起因するのでしょうか。ジャーナリストの高野孟さんがメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で、その根本原因を探っています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2019年6月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

インテリジェンスを欠いては総理大臣は務まらない──何ひとつ成果の出ない安倍外交「失敗」の根本原因

外交は武器を使わずに行う戦争」とはよく言われることだが、安倍晋三首相にはそういう真剣勝負に毎度立ち会っているのだという認識も覚悟もない。たぶん彼にとっては外交は、相手国の首脳と「仲良しになって多少の無理も聞いて貰えるようになること」であって、その手段としては、2カ月続きで一緒にゴルフで遊ぶとか、お互いに夫人同伴で相撲観戦や居酒屋探訪や軍艦見学を楽しむなどのてんこ盛りの「接待」漬けが中心である。これは単なる社交」であって、国際情勢変転の荒波の中で国家の生き残りを賭けて国益の最大化を図ろうとする「外交」ではない。

例えばプーチン露大統領とは「25回も会談した」のが自慢らしいけれども、そのうち先方から日本に出向いて会談したのは16年12月の1回きりで、さっそく安倍首相は故郷=山口県の高級温泉旅館「大谷山荘」で接待を企画し、あわよくば一緒に温泉に入って“裸の付き合い”を世界にアピールしようとした。しかしプーチンは「なぜこんな遠いところに行かなければならないんだ」と周りに不平をたれつつ3時間も遅れて到着、風呂にもろくに入らずに帰った。

プーチンのような希代の戦略家を相手に、国家にとって最も敏感な領土問題で駆け引きしようというのに、研ぎ澄まされた論理を周到に準備するのでなく、情緒に頼ってご機嫌取りをすれば何とかなるというようなベタベタした湿っぽいやり方は無効で、安倍首相が今年に入って追求した「2島返還論による交渉の失敗も実はその時から始まっていたのである。

トランプ米大統領はノーテンキだから、今回の大接待作戦を素直に喜んだのかもしれないが、それでも日本との貿易交渉について「大部分は7月の日本の選挙の後まで待つことになる大きな数字を期待している」とツイッターに打ち込んで国益確保への執念を示すことを忘れていない。それに対して安倍首相は否定も肯定もできず、(都合の悪いことが起きるといつもそうするように気まずそうな薄ら笑いを浮かべて)黙っているだけである。

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