「最初の頃は良かったんです。単価は決して高くありませんでしたが、他の製品も買ってくれるという条件だった。新製品を開発するのは大変でしたけど、大企業さんが、ウチみたいな小さな会社に頭下げて『開発をお願いしたい』なんて言うわけですから、社員のモチベーションもあがったし、会社としては大口契約だったのでありがたかった。
ところが数年前に『会社の方針で他の製品は買わない』と宣言されてから状況は一変。新商品プレゼンの頻度が上がり、単価も下げられた。納期までの期日も短縮されました。
長時間労働は常態化しています。結局、大きくて体力ある企業だけが勝ち続け、小さいところはどんどんと疲弊していく構造になってるんです」
なんともやるせない話ですが、かつての日本では大企業と中小企業は上下ではなく、同等の関係でした。
中小企業ができないところを大企業が補い、大企業では難しいことに中小企業が力を注ぐ。それぞれに役割を全うし「いいモノを作ろう!新しいモノを作ろう!」と目標を共有していました。
賃金格差の問題は存在していましたが、その反面、長期・安定的な取引関係というプラス面でバランスを取っていたのです。
しかし、今やどうでしょうか。大企業は「自分たちのお客様」と「自分たちの社員」の満足度の向上と引き換えに下請けに理不尽な要求を突きつけている。
中小企業にいわゆる“ブラック企業”が多いのも、下請けいじめが引き金になっているのではないか。それが結果的に中小企業の“人手不足”に拍車をかけ、さらに追い詰められる。そう思えてなりません。
「しわ寄せ防止総合対策」が絵に描いた餅にならぬよう、厳しく進めて欲しいです。
みなさまのご意見もお聞かせください。
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※『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』(2019年6月26日号)より一部抜粋