下請いじめが潰す日本。しわ寄せ防止総合対策は中小を守れるか?

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「働き方改革関連法」の順次施行に伴い、中小企業へのしわ寄せがこれまで以上に問題となっています。健康社会学者の河合薫さんはメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で、講師として招かれた講演会で耳にした「下請けいじめ」の実態を紹介するとともに、政府が中小企業を大企業から守るためようやく乗り出した「しわ寄せ防止総合対策」の迅速かつ厳格な推進を強く求めています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2019年6月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

中小企業は日本の顔!

しわ寄せ防止総合対策」―――。少々語呂が悪いネーミングではありますが、政府が中小企業を大企業から守る対策を検討中であることを日経新聞(24日付朝刊)が報じました。

働き方改革関連法で大企業は残業時間の上限が年720時間となりました。これにより下請け企業に短い納期での発注や無理な人員派遣の要請など“しわよせ”が起こる可能性があると判断。それを防ぐために、

  • 大企業の経営トップを集めたセミナーを開き、担当省庁からしわ寄せ防止への配慮を直接要請する
  • 下請けの中小企業での過度な長時間労働などの背景にしわ寄せが疑われる場合には厳正に対応する
  • 中小企業からの「しわ寄せ」相談を地方経済局に情報提供する
  • 下請法に基づく再発防止の勧告や企業名の公表などを念頭に置く

といった具体案が検討されているそうです。

これまでにも、

「うちの会社は残業できないからさ。オタクでひとつよろしく!」
「ナニ?この値段じゃできない?だったら取引終了してもいいんだよ。オタクの代わりは山ほどいるからね」

といった“下請けいじめ”は、かなり前から問題になっていました。

公正取引委員会による下請法違反の「指導件数は2017年度に6,752件で過去最悪を更新。総務省が全国の製造業と建設業の下請け業者計2,131社対象に行った調査では、749社が下請け代金の減額や支払い遅延などを経験していました。

しかも、そのうち、国などの相談窓口を利用したのはわずか22社で、うち11社は「問題解決につながらなかった」と回答していたのです。

日本企業の99.7%、国内雇用76.8%を占める中小企業は、「日本経済の顔」です。

私はこれまで何度も講演会で、フィールドインタビューで、「ああ~そうなんですか~。オタクの会社で作ってるんですか~」と口にしてきました。

数年前、ある団体の講演会に呼ばれたときもそうでした。

名刺交換にいらした方に「○○(某商品名)をご存知ですか?」と聞かれ「はい、知ってますよ!」と答えると、「アレ、うちの会社でつくっているんですよ」と。

「▲△(某企業)が作ってるんじゃないんですね?」と聞いたところ、「開発は下請けがやっているんです」と笑顔で答え、以下のような話をしてくれました。

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