キヤノン、シヤチハタ、企業名のカタカナ表記に異議あり」
ハンコやスタンプのメーカーで「しゃちはた」と読む会社があります。ところが、本来の社名は「シャチハタ」ではなく「シヤチハタ」なんだそうです。そのように登記されているのでそれが正式だそうで、理由としてはロゴのビジュアルのバランス上そうなったというのです。
同じような例では、カメラとOA機器の「キヤノン」があります。こちらも、「キャノン」ではなく「キヤノン」であり、間違えると訂正されますし、ビジネスの社会で「このことを知っている」人は、知らない人に教えるという習慣もあるようです。
ですが、よく考えると、カタカナの現代日本語の正書法に反抗して、表記と発音を乖離させるのは強引です。読み方が「し・や・ち・は・た」や「き・や・の・ん」であるのならともかく、「シャチハタ」と「キャノン」と読ませるにも関わらず、そう書かないのが正式で、間違えると「直してください」というのは、どうにも不自然な感じがします。
勿論、日本には実は正書法はないというのも事実です。例えば、「かっこいい」という形容詞には、まず「格好」の部分に「恰好」と「格好」と「かっこう」と「かっこ」と「カッコウ」と「カッコ」などのバリエーションがあり、「いい」の部分にも「良い」「いい」「よい」「イイ」(なぜか「ヨイ」というのは稀ですね)などがあり、その組み合わせとしての「かっこいい」には相当のバリエーションがあるわけです。
ただ、日本語の肩を持つのであれば、この「かっこいい」の表記バリエーションには、微妙なニュアンスの違いがあり、あるコンテキストにおいては、ある表記がツボにハマるし、そのツボをわざと外すことで違ったニュアンスを醸し出すことも可能は可能です。
ですが、この「キヤノン」や「シヤチハタ」の場合は、そういうことでもないわけで、ただ「ロゴのビジュアルをカッコ良くしたい」ということになるのであれば、動機としては相当に不純です。
この問題、企業姿勢として、本当にこういうことを続けていて良いのか、両社とも少しお考えになった方がいいのではないかと思うのです。
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