共同通信調査では自民65±4
東京新聞が掲げた共同通信の電話世論調査を中心とした予測は次の通り。
推定獲得議席 改選数 非改選数
自民 65 +4-4 66 56
公明 14 +2-3 11 14
与党計 79 +6-7 77 70
立憲 20 +4-5 9 15
国民 5 +3-1 8 15
共産 8 +4-3 8 6
維新 9 +2-3 7 6
社民 1 +1-1 1 1
諸派 0 +1 2 0
無所属 2 +2 4 8
合計 124 116(欠5) 121
朝日新聞はここまで詳しい数字を出していないが、趨勢判断はほぼ同じ。プラス・マイナスの幅がかなり大きいのは、まだ序盤で半分ほどの人が投票先を決めていないためである。両紙の解説に他の情報も加味して判断すると……、
▼自公が過半数を割る(上述1.)可能性はほとんどない。それどころか、今回改選の自公合わせて77(同5.)前後に届く可能性が大きい。
▼自公が76、維新が9だとすると合わせてピタリ85で、非改選と合わせて3分の2超となる(同6.)。しかし、この3党のプラス・マイナス幅を見ると、全部が悪い方に傾いた場合は3党合わせて78、全部がプラスになれば96と幅があり、どうなるかまだ分からない。また、仮に3党で85を超えても、公明はこの選挙を通じてますますはっきりと安倍流の9条改憲論から距離を置き始めているので、広い意味での「改憲勢力」には数えられるかもしれないが、「9条改憲勢力」には入らない。
▼野党では立憲が改選数9の倍以上の20を得る可能性があるのに対して、国民は改選数8を維持できず5程度になりそうで、明暗が分かれる。共産は現状維持。社民は、今回2人を当選させないと非改選1、衆議院2と合わせても5人に達せず、政党要件を失う。
注目すべき1人区の行方
こうした大勢の下で、特に注目すべきポイントを挙げておこう。
第1は、何と言っても、32の1人区で野党統一候補がどこまで自民と戦えるかである。周知のように、3年前の前回は自民から見て21勝11敗と野党がまずまずの健闘を見せたが、今回はそこまで届くのかどうか。自民はほとんどの区で前々回に当選した現職が立っているので知名度が高く、実績を誇れるのに対し、野党候補は急遽決まった新人が多く、名前と顔を覚えて貰うのが精一杯。そのため、
▼焦点の東北6県では、前回は秋田のみ自民で他の5県は野党が取ったのに対し、今回は青森と福島で自民が優勢、岩手・宮城・秋田で激戦で、秋田のみ野党がリードという、野党にとってかなり厳しい情勢にある。
▼東北以外で野党が優勢なのは、長野・愛媛・沖縄、激戦となっているのは新潟・滋賀で、残りの21(青森・福島を加えれば23)は自民が強い。
▼ただし、鈴木哲夫がサンデー毎日7月14日号で指摘しているように「老後資産2,000万円」問題の影響で1人区に逆風が吹き始め、「断トツで優位だった青森も怪しくなってきた」のをはじめ、東北6県がいずれも接戦もしくは野党が追いつきつつあり、また長野・愛媛・沖縄以外でも新潟・三重・滋賀・大分で野党が競り勝つ可能性が出てきたという。これにより野党は1人区で最小8勝、最大13勝ということになろう。
第2に、複数区もなかなかスリリングである。4つの2人区では、自民が先行、2番目の議席を立憲と共産もしくは国民の野党同士で争っている。ただし広島では自民が2人を擁立し2議席独占の可能性がある。
やはり4つある3人区のうち北海道は立憲が強く、自民は2人を擁立したものの高橋はるみ元知事が取りすぎでもう1人の新人が沈み、共産に追い上げられている。千葉でも3つ目の議席を自民の2人目と共産が競い合っている。兵庫は公明の最重点区で維新と激突している。
4つの4人区のうち埼玉では4番目の議席を共産と国民が、神奈川ではやはり4番目を共産と維新現の松沢成文とが争っている。大阪では維新と公明がややリードし、残り2議席を自民現の大田房枝元知事、立憲、維新、共産が争っている。
6人区の東京では、自民=丸川、公明=山口、共産=吉良、立憲=塩村の順で、残り2議席を自民=武見、立憲=山岸、維新、国民などが争う。