高校3年の受験生の息子さんが勉強の意欲をなくした様子だという親御さんから、メルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』の著者で家庭教育のプロの柳川由紀さんの元に相談が届きました。高校3年生ともなると親からの働きかけをためらってしまうこともあるようですが、柳川さんは、上手にやる気を引き出すための声掛けのコツや、5つの質問からなる「成功インタビュー」の方法を教えてくれました。
すぐに実践!やる気アップコミュニケーション
Q. 受験生として勉強に頑張っている息子がいます。しかし最近、やる気がなくなってしまったようです。何が原因なのかわからず、「どうしたの?」と聞いても「何でもない」と答えるばかりです。 今からやる気がなくなってしまったら、大学受験に差し支えます。けれど、親としてはなるべく口を出したくありません。(高校3年男子のお母様より)
柳川さんからの回答
受験生の親として心配ですね。やる気がなくなった原因が何かあるとは思いますが、お子さまが話したくないのであれば、アプローチ方法を変えましょう。親としての声掛けのコツをご紹介します。
1.原因論ではなく目的論へ
「なぜやる気がなくなったの?」と原因を探す投げかけ(原因論)は、過去に起きた何かが今に影響していると考え、その原因を追究します。けれども追及したところで、それを変えることはできません。 一方、「どうしたらやる気が上がる?」という投げかけ(目的論)は、過去に何があったとしても、未来の目標を持つことで今の状況を変えたり、選んだりすることができます。
2.未来にフォーカス
人は目的を持つと前向きになる傾向があります。それが長い人生の目的であったり、数年先の目的、或いは来月、今月などの近々の目的でも同じです。そこで、1で問いかけた答えを目的に定め、子どもと一緒にその目的のためにできることを建設的に積み上げていくのです。 「わかんない」という答えが返ってきた場合は、何をしているときが一番楽しいのか、嬉しいのか、気分が良いのか、などを尋ね、それを足掛かりに目的を定めましょう。
それでもやる気が湧いてこないときがあります。子どもの「自己効力感」が下がっているときです。自己効力感とは、「自分がある状況において、必要な行動をうまく遂行できると、自分の可能性を認知していること」を言います。 自己効力感が下がっているときには、まず、その自己効力感を高めるところからです。次回、自己効力感の高め方についてお伝えします。
3.3つの「ニン」
「やる気を持ちなさい」と言われたからといってやる気が湧いてくるものではありません。内的動機付け、つまり自らの欲求を成し遂げようとするからこそ気持ちが高ぶり、やる気になるのです。その欲求を刺激するために、成功も失敗も丸ごと「認」めることです。 また、人は「任」せられると、責任を持ってものごとに取り組もうとします。責任を持った事柄については、より良い状態にしようという心理が働くからです。これがやる気の種になります。
一方、親は子どもの言動を見て、早くしなさい、こうすればいいじゃない、なぜそうやるの?やろうか?などと、つい手や口を出してしまいがちです。親は子どものためを思ってのアドバイスだと思うことも、子どもにとってはただの小言です。 口やかましく言われれば言われるほど気持ちは萎えてしまいます。まずはぐっと言いたいことを「忍」んで子どもを見守ることが大切です。 「認、任、忍」の3つの「ニン」を念頭に子どもをサポートしましょう。
家庭教育アドバイス…「やる気を出すには行動を起こす」
やる気を引き起こすのは、脳の「側坐核(そくざかく)」という部分が働き、脳内物質が出るというメカニズムがあるからです。 この「側坐核」は「行動すると活発に動き出す」性質があります。つまり「人は行動をすればやる気がでる」のです。行動させるために親としてできることの一つに、「成功インタビュー」があります。 例えば勉強でやる気を出させたいのなら、子どもに今回の勉強で成功した自分になりきってもらい、インタビューします。
- Q1.成功して一番嬉しいことは何?
- Q2.一番大変だったことは何?
- Q3.成功するまで頑張れた理由は?
- Q4.成功して、これからどうしたい?
- Q5.成功するためにしたこと、きっかけは何だった?
大切なことは、成功した自分をイメージすることと、Q5です。成功するために始めたことは何だったのか?親は、Q5に子どもが答えたら、「全部わかってるなら簡単!あとは行動するだけね!」と伝えましょう。 是非お試しください。インタビューに答えているうちに子どもの目が輝きだしてくるのがわかります。
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