面白かったのは、親方の言葉の一つ一つである。単に文面にすると、これがかなりきつい。多分、教育現場で使ったとしたら「子どもにそんなひどいことを!」というクレーム殺到は間違いない(なのでここにも書けない)。
これが、実は全くきつくないのである。むしろ嬉しい。なぜか。「愛情」が感じられるからである。一見きつい言葉の裏に、深い愛情が感じられるからである。傍から見ていても、師弟の深い信頼関係が感じられた。
逆に言えば、どんなに良い言葉であっても、心が入っていないものは空虚であり、害悪である。思ってもいないことを「お世辞」「おべんちゃら」などというが、その類である。それで人が育つ訳がない。本当に相手を思うならば、相手の成長のためになることを伝えるべきである。
ちなみに「お客さん」である私たち一行も、初対面だがズバズバ言ってもらえた。私がいただいた言葉で、差支えのなさそうな範囲で紹介すると「なるほどね。で、明日から日本の教育は良くなりそう?」「いえ、今は夏休み中なので、明日からというのはまだ…」「ふーん。言い訳ばっかりだねぇ」
こんな感じで、もう遠慮がないのである。そして、ぐうの音も出ない。理屈で言い返すほどに、「実践」と「証拠」を求められる。職人なのである。
最後にご自宅からお見送りをいただく際にも、とびっきりの笑顔で握手をしながら「君は理屈っぽいから、次はそこだな!」と言っていただいた。つまりは「次会うまでに日本の教育が少しでも良くなったという事実を示せ」という宿題である。
他にもたくさんの教えをいただいたが、刺激的すぎて書けない。文面だと、恐らくマイナス面として伝わってしまうためである。話す言葉というのは温度があり、文面だとそこがフラットになってしまう。
本などにすると、伝えるのが難しいのがそこのニュアンスである。実際の授業や子どもの姿を見てもらう方が圧倒的に伝わる。
夢を語り、事実を示す。感謝をし、他人様のお役に立つ。教育の根本について考える機会をいただけた、有意義な学びの場だった。
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